1958(昭和33年)/5/5公開
配給:松竹(受託配給) 製作:新理研映画
日本列島に生棲する生物を、その自然を背景に、カラーで記録したもの。約一年間、北は北海道の天売島から、南は鹿児島県荒崎に至るまで、日本縦断ロケを行った。鳥類や昆虫の、めずらしい生態がとらえられているが、なかでも、世界で始めて撮影に成功した朝日連峰でのブロッケン現象や青森県小湊での浮島現象などが興味を引く。監督は古賀聖人。
朝日連峰の春。森の鳥たちが活動を始める。クマタカ、コマドリ、ウグイスなど。雌雄がそろうと、巣造りを始める。キジバト、コサメビタキ、エナガ。さらにはコチドリ、コアジサシ。またはキツツキ、ムクドリ。彼らの産卵から育雛まで。夏、雛鳥たちも少年期に達した。蛇、いたちが狙っている。自然も容赦はしない。渇水、暴風雨。やっと雛は巣立する。秋は生物の世界にはありがたくない。昆虫類は死滅するか、越冬するかである。蛇、蛙なども冬眠する。餌が欠乏し始め、鳥たちは南国を目指すか、人里近くに移動するかする。ハヤブサの襲撃を受けるヒヨドリの群。山野を雪がおおい、狐、狸、カモシカ、クマタカたちは食うか食われるかの闘争をする。吹雪。長い、苦しい冬。やっと雪崩があちこちに起り始め、春が再びめぐってくる。