1958(昭和33年)/8/10公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
吉川英治の原作を井手雅人が脚色、大曾根辰保が監督したもので、お馴染藤吉郎・信長・小六が活躍する物語。撮影は石本秀雄。高田浩吉、松本幸四郎、瑳峨三智子、山田五十鈴のほか、近衛十四郎・森美樹・高野真二・幾野通子などが出演している。
戦国時代。尾張国中村の郷士木下弥右衛門の子として、日吉丸は生まれた。父の死後、彼は光明寺にあずけられた。あまりの乱暴さに寺を追われ、家に帰ったが新しい義父との間で苦労する母に別れを告げ、亡父遺愛の刀を腰に旅立った。失矧川の橋の上で、野武士蜂須賀小六に拾われたが、彼は野武士に満足せず、さらに良主を求めて旅立つ。尾張清州の城下で、彼は信長に出会い、死を賭して直訴した。彼は信長に召しつかえることになり、名を藤吉郎と改めた。その努力を認められ、草履番から台所奉行、厩奉行とトントン拍子に出世した。藤吉郎は足軽組頭浅野の娘・寧子を秘かに恋していた。が、彼を常々かばってくれる前田犬千代が人を介して寧子を嫁に求めているときいて、半ばあきらめる。しかし、まだ犬千代が彼女の承諾を得ていないと判ると、彼に寧子とは前前からの恋仲と言い放つ。犬千代は信長の寵臣山淵を今川方の間者と知って斬り、信長の勘気をこうむる。彼は寧子と藤吉郎の幸せを祈って他国へ旅立った。永祿三年、三万余の今川勢が攻め入ってきた。が、織田方はその十分の一の小勢にもかかわらず、桶狭間の急襲でこれを破った。斬込隊の中には藤吉郎はむろんのこと、駈けつけた犬千代の顔も見えた。彼は帰参を許され、その媒酌で藤吉郎は寧子と結婚した。信長は岳父の怨みをはらそうと美濃侵攻を企てた。その足掛・州股の築城の大任が藤吉郎に割りあてられた。佐久間・柴田・織田勘解田の三家老がすでにそれに失敗していた。藤吉郎は小六をたずね、その協力を乞う。