1964(昭和39年)/8/30公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
犬塚稔がシナリオを執筆、松野宏軌が監督した人情もの。撮影は酒井忠が担当している。
浪人者淡島蟹右衛門は、安房勝山で道場を開く従兄、星島金次郎を訪ねる道中、道場破りとして悪名を轟かせる七人組の武士に出会ったり、また翌日は、盗みを働いて、百姓に打たれている浪人者に相遇したりして、やむなくその浪人の子供、伊木庄之助を背負いこんだ。八日市の渡船場に来た蟹右衛門は博徒と横車を押す僧形の旅人が、庄之助の父要人を知っていると聞き、後をつけた。その道すがら多胡のやくざ由蔵の娘、お陸と知り会った蟹右衛門は、お陸の家に宿を借りることになった。弟のようだと庄之助を可愛がるお陸は、蟹右衛門にも、好意を抱いたようだ。だが、金もなく、子供をかかえて困った蟹右衛門は、お陸のもとに子供を置くと、家を出た。そんな蟹右衛門の懐に財布が投げ込まれた。道中師お銀が、窮余の一策で投げたのだ。蟹右街門は得たりとばかり、お陸らを呼ぶと散財した。だが蟹右街門の後を追ったお銀と、盗まれた七人組の道場破りは、蟹右衛門を泥棒と呼び、一戦を交えることとなった。だが、蟹右衛門の腕の見事さに、お銀、七人組それに僧形の旅人の一行は、蟹右衛門に従ってついて来た。一方金次郎は夏目玄々斎の娘弥生をめとり、跡目をついでいた。その夜、庄之助の父要人が訪ねて来た。要人は女敵討ちのため、諸国を流浪し金に困って泥棒をしたというのだ。蟹右衛門は涙ながらに庄之助を手離した。一方その頃、夏目道場では、道場破りの一人淵上甚兵衛が金次郎の留守を狙って、玄々斎に試合を挑んでいた・・・。