1967(昭和42年)/11/11公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
林芙美子の同名小説を堀江英雄が脚色、大庭秀雄が監督した文芸もの。撮影は長岡博之が担当している。
東京の下町の雑貨屋の三女・清子は複雑な家庭環境の中にいた。長女の逢子、次女の光子、兄の嘉助は、それぞれ父が違っていたのだ。逢子は夫を無能呼ばわりするほど気が強い女だったし、光子は急死した夫・呂平の不貞にただおろおろするだけの女で、また兄の嘉助は、人が良いだけがとりえの男である。清子は内向的な光子とは気があったが、母のせいや逢子夫婦、嘉助たちが呂平の保険金を狙っているのを見て嫌な気がした。ある日、逢子が両国のパン屋綱吉との縁談を清子に持って来たが、清子は断った。間もなく、綱吉は松戸で割烹旅館を始め、光子はそこの帳場の責任者として働くことになった。しかし、光子は綱吉が逢子と関係があると知ってやめてしまった。そして、逢子が綱吉の所に入り浸る様子を見た清子はたまらない嫌悪感に襲われた。しばらくして、清子は光子が始めたお茶漬屋を訪れ、そこに綱吉の姿を見て驚いた。綱吉は、逢子と関係を続けながら、光子にも手を出していたのだった。その上、彼は清子にも言い寄ってくるほど、厚かましい人間だった。清子には悲しい想い出があった。将来を誓いあった恋人の川口が、清子が私生児と知ると、出世の妨げになると別れていったのだった。清子は姉たちの醜悪な生き方への嫌悪感もあり、家を出ようと決心した・・・。