1969(昭和44年)/4/12公開
配給:松竹(受託配給) 製作:松竹 / クラウン
長谷川公之が脚本を執筆し、梅津明治郎が監督したムード・アクション。撮影は浜崎和水が担当している。
乾は、昔自分を裏切った女加代とその恋人坂口の密航の手助けをスナックのママ文江から頼まれて迷った。だが、訪ねて来た坂口から「余命いくばくもないブラジルの母に会いたい」と聞いて、その依頼を引き受けた。船は翌朝出帆することになっていた。しかし密航計画は、黒川興業のボス大森や、復讐のためにつけ狙っている玄田組に知れていた。乾は、坂口が大森らに襲撃されると、彼を顔なじみの小山外科院長に預けた。そして、大森の身内だが自分を慕う三郎や西郷の協力を得て、加代を大森から救いだした。その夜、三年ぶりに会話を交した乾は、加代がもう坂口から離れられないことを悟った。夜明けまであと二時間という時、小山病院へ救急車が横づけされ、白衣をつけた二人の男が駈けこんだ。やがて、救急車は去ったが、そのハンドルを握っているのは小山病院で入れ替った乾と坂口だった。二人は途中で加代とおちあい明け始めた街を港へと急いだ。しかし、船を目前に、三人は、大森らの一団に追いつかれ、乾と坂口はやくざと血みどろの死闘を展開した。その時、坂口は玄田組のボス南と刺しちがえて死んだ。それから数日、埋立地で乾と加代は別れた。「いつまでも貴方を愛しているの。でももう駄目ね」一人佇む乾の耳には加代の最後の言葉が鳴りつづいていた。