1969(昭和44年)/7/5公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
石森史郎と井上梅次が脚本を共同執筆し、井上が監督した青春メロドラマ。撮影は丸山恵司が担当している。
秀人が由紀と会ったのは、夏の海岸だった。秀人は金持ちの息子のふりをしていたが、実は自動車修理工だった。その工場にデザイナーの三千代が、車の修理を頼みにきた。三千代の姿を見た秀人の心は穏やかではなかった。三千代は19年前に彼とその家族を捨てた母だったのだ。修理した車を店へ届けると、そこに由紀がいた。由紀もまた、ただのお針子にすぎなかった。デートの日、秀人は孤児であると偽り、共通点を求め、由紀との友情を深めようとした。そんな折秀人は兄の和人に家に連れ帰られた。母のいない家庭、がんこな父。秀人は、性に合っている工場に戻るのだった。何度もデートを重ね、幸福だった二人に危機が訪れた。父の事故により、秀人には家庭があり、孤児でない事を知った由紀は、怒りをぶつけると秀人の前から姿を消した。何もかも忘れようと、ゴーゴーを踊った由紀は、その帰途、車にはねられ、重傷を負った。病院に運ばれた由紀は、頑なに心を解こうとはしなかった。が、彼女の先生であり秀人の母でもある三千代から、秀人も同じ境遇に生きているといわれ、嬉しさがこみ上げてきた。そんなところへ駈けつけた秀人の顔を見た時には、二人の心は固く結ばれたが・・・。