1970(昭和45年)/11/11公開
配給:松竹(受託配給) 製作:浅井企画
コント55号の萩本欽一が「手」に続き、製作・監督・脚本・音楽・主演する喜劇。脚本・監督は「手」の萩本欽一。撮影は「涙の流し唄 命預けます」の小杉正雄がそれぞれ担当している。
浅井ベッドに勤務する萩本欽一は、けたたましく吠える犬の声や、隣の夫婦のセクシーな声に邪魔され、不眠症に陥っていた。彼の睡眠を妨害するものは、まだまだあった。外を走るダンプの音、ひょっこり上京して来た両親の心配症、友人の無意味な電話など。そんなとき欽一はきまって東京タワーにのぼり、遠く九十九里に残してきた恋人のミチコの名を呼んでは、気分を爽快にさせていた。そんなある日、またしても不眠症におそわれ、睡眠不足でフラフラになった欽一は失敗の連続で営業成績も落ちる一方だった。睡眠不足がたたり、夢遊病者のようになった欽一は、フラフラと車道を歩き出し、そこへ猛スピードで接近して来た車が、彼をさけようとしてガードレールに激突した。ただ、呆然と立ちつくしていた彼は、だんだん事の重大さに気づき、現場検証の警官に自分の過失を打ちあけるが何を勘違いしてか彼の言葉はまともにはとり上げられなかった。車には夫婦と子供が乗っていたが、両親は即死し、子供の俊二が奇跡的に助かった。欽一は俊二を見舞うが、両親をなくした悲しさに、ひとりさびしそうにしている俊二を見て、彼は再び罪の重さと責任を感じた。数日後、俊二の家で親族会議が開かれ、財産の分配方法をめぐっての腹黒いやりとりを聞いた欽一は「俊二は俺が育てる」とタンカを切って親族を追い払ってしまった・・・。