1975(昭和50年)/4/12公開 88分
配給:松竹 製作:松竹株式会社
暗い過去を背負った教師と不治の病の女子高生の悲劇的な愛を描いた青春映画。脚本は石森史郎、監督は市村泰一、撮影を小杉正雄がそれぞれ担当している。
鈴子と級友の詠一は幼ななじみである。そんな二人が通う高校に南条恭助が新任教師としてやって来た。鈴子は風貌の下にかくされた孤独を見て興味を覚える。ある日下校途中に、南条が真奈美とその仲間の愚連隊にふくろだたきにあっているのを目撃した。無抵抗な南条。鈴子は彼の傷の手当をしながら事情を聞くが、冷たく突き放される。翌日、鈴子は真奈美に呼び出され、南条が大学生の頃にボクシングの試合で、真奈美の兄を死なせてしまったことを知らされた。以後、深い悔恨と苦しみを背負って生きている南条を鈴子は、ますます好きになった。一方、鈴子を愛している詠一は、南条の過去を知って鈴子は渡せないと思っていた。日ごとに荒んでいく真奈美を南条は追った。そして南条と鈴子は、真奈美の口から南条の父が、彼女の兄の死を一千万円で解決しようとしたことを知らされた。「お金なんかいらないから、兄さんを返して」と泣き叫ぶ真奈美を、南条はひしと胸に抱いた。鈴子は真奈美も憎しみながら南条を愛しているのだと思った。詠一は、ついに鈴子に愛を告白した。しかし鈴子の答えは冷たかった。酒に酔いつぶれる詠一。そんな詠一が火事にまき込まれ、彼を救けたのは南条だった。鈴子と南条の献身的な看病を受けた詠一は、二人の愛を理解するようになった。しかしその数日後、鈴子が倒れた・・・。
アジア映画祭ミトラ賞