1975(昭和50年)/11/29公開 92分
配給:松竹 製作:松竹株式会社
目的の定まらぬ若者と、妻子を捨て、故郷を捨てながらも、苦しみを内に秘めた中年男との心のふれあいを描いたストーリー。脚本・監督は宮崎晃、撮影を川又昂がそれぞれ担当している。
三浦宏、22歳、学生。友部紀子、24歳、OL。二人は小さなアパートで同棲しているが、宏は昨年父を亡くし仕送りのない現在、紀子の給料と宏のアルバイトで学生生活を送っている。そして、宏は同棲生活に疲れを感じ始めていた。宏は、2カ月の約束でダム工事現場で働くことになった。宏が矢沢源太郎と会ったのは、工事現場に行く途中だった。源太郎は工事現場で働いているが、昨夜、町で遊びすぎ、朝帰りするところだった。宏は懸命に働いた。「そんなやり方じゃ、すぐばてるぜ」源太郎の言った通り、初日の夜から、宏は足腰が痛くて源太郎に揉んでもらった。二週間が過ぎた頃、東京の紀子のもとに、彼女の父親がわりの叔父、友部順吉が、宏と別れさせようとやって来たが、紀子はきっぱりと断った。その頃、工事現場で、宏の乗ったトラックが横転、宏は左腕を骨折した。駆けつけた紀子は、意外に元気な宏を見て思わず涙を流した。やがて、退院した宏は東京へ戻った。数カ月後、源太郎が上野で喧嘩に巻き込まれて留置場で一夜を明かし、宏が身元引受人になった。出所した夜、二人だけの宴が宏のアパートで始まった。しばらくして帰って来た紀子を交えて三人は乾杯した。翌朝、宏と源太郎が食中毒をおこし、紀子は会社を休み看病した。そんな時、順吉がやって来て、ふたたび別れ話を持ち出したのだった・・・。