1979(昭和54年)/3/3公開 112分
配給:松竹 製作:松竹株式会社
川崎の工場で働く若者たちが仲間を集めてベートーベンの第九を舞台で歌うまでの苦労の経過を描いたストーリー。長い間、山田洋次と組んで脚本を書いてきた朝問義隆の監督デビュー第1回作品。山田洋次が演出した労音の公演オペラ「カルメン」で山田洋次を手伝って全国を一緒に回った時、各地のアマチュア合唱団の若者たちの情熱的な姿をもとに映画化したもので、原案は山田洋次、脚本は朝問義隆と梶浦政男による共同執筆、撮影を吉川憲一がそれぞれ担当している。
川崎の鉄工所に勤める徳次郎、その先輩の安男、後輩の保の三人は、「川崎でベートーベンの第九を歌いましょう」という京子たちの勧誘に、女の子達と知り合えるという下心から、「川崎エゴラド合唱団」に入った。合唱団には京子が密かに思いを寄せている中学の音楽の教師で合唱団の団長の勝彦を始め、芳人、弓子、トシ子、文枝、節子らがおり、毎日団員確保に奔走していた。入団した徳次郎は、お目あての京子が、勝彦にプレゼントを渡しているのを目撃し、失恋したと思いこみ合唱団から遠ざかっていく。時同じくしてトシ子も稽古に顔を出さなくなった。「せっかく知り合ったのに……」という京子の強い説得に徳次郎は戻ってきた。合唱団は12月公演を目ざして三日間の合宿に入った。徳次郎も休暇を取って参加した。団員たちの連帯も一層深まったかに見えたが、折りも折り、芳人が「節子を妊娠させてしまった。チームワークを乱しては悪いので二人で退団する」といい出した。そのことで、「団員同志が何故愛し合ってはいけないの‥…」という京子と勝彦が対立し、京子は故郷に帰ってしまう。徳次郎は京子の故郷、信州の北志賀高原に向かった。突然の来訪に京子は驚くが、徳次郎の無言の説得にもう一度川崎に戻る決心をした。公演が近づき、合唱団も再び活気がよみがえってきたある日、病院に入院している安男の状態が急変したと知らされた徳次郎は、すぐに病院にかけつけた・・・。