1980(昭和55年)/9/20公開 132分 カラー
配給:松竹 製作:松竹株式会社
大人社会の中で、悩み、迷い、傷つく少年少女たちのエピソードを、取材する新聞記者の眼を通してドキュメンタリータッチで描いたストーリー。齋藤茂男の同名の原作の映画化で、脚本、監督を木下恵介、撮影を小杉正雄がそれぞれ担当している。
親の愛に飢えていた江美は、中学生になると髪を染め、マニキュアを塗り、夜の闇にさまよっていた。やがて、彼女はディスコで俊二という、やはり冷たい家庭で育った少年と知り合った。その三日後、オートバイ狂の俊二は事故で死んでしまう。二人の間にどんな魂のふれあいがあったのか。江美はこの少年についてあまり語らず、少年の死を機に彼女の反抗はエスカレートしていく。淳一は幼稚園の頃から自立の芽をつまれ、過保護に育った。淳一の反抗は中学二年でピークをむかえ、暴力をふるい部屋に閉じ込もる。夫婦仲の悪い親は息子のことで真険に相談することもなく、父親が腕力で制裁したり、担任の先生を呼んで荒療治を加えたりする家族だ。「オレのことなんか、何もわかっちゃいない、オレを施設に入れるんなら、家に火をつけてみな殺しにしてからだ!」淳一の言葉は、胸の底から噴出する激しい悲鳴であった。由香里に非行の兆しが見えはじめたのは中学二年のとき、繊維工場を営む父が不況のあおりを受け、借金に追われている頃だった。「みんなで死んでしまおう……」と口ばしる父親を励ましながら、母は、昼は工場へ夜はキャバレーへ必死になって働いた。しかし、暮らしは楽にはならなかった。ある日、由香里はスーパーで万引きして捕まり、それが引きがねになったかのように、タバコを吸い、学校をサボっては夜の街を遊び歩くようになり、暴力団のワナにはまり、やがて捕導され鑑別所に送られていく。
日本アカデミー賞優秀作品賞