1983(昭和58年)/4/29公開 103分 カラー
配給:松竹 製作:松竹 / 松林プロ
東京と山口県美祢市を舞台に、チグハグで愛すべき日本人を明るく、鮮やかに描いたストーリー。脚本は紺野八郎、監督は松林宗恵、撮影を長沼六男がそれぞれ担当している。
東京・××病院。院長の大山を先頭に回診の列が続いている。その横の公衆電話で、たった今丈夫な男の子が生まれたと、山ロ県美祢市の実家に連絡している憲。電話のむこうでは、憲の考えた子供の名前「昂」が気にいらないと、父親の頑太郎が烈火のごとく怒っている。美祢の名所大岩郷。セメント工場の診療所の医者大山貫一は、自分が原因でケガをした頑太郎の娘かつ枝の手当てをしている。この出会いから、若い二人の間に恋が芽ばえていった。“大山細田”二枚の表札が掛かる門構えの邸宅。大山は、ゴルフ帰りの妻淑子をつかまえ、貫一が家を出たのはおまえのゴルフ三昧が原因だとなじるが、あなたのような算術医者になりたくないからだと逆にやり返えされる。そんなことより貫一に戻ってもらうことを、もっと真剣に考えろと二人を諭す淑子の父細田老人。大山家の近くの小公園。細田老人、小柳老人が日差しを浴びていつものジジイ会談を始めている。頑太郎が孫の顔を見に行く東京の病院が親父の所と知った貫一は、お世話になっている知り合いの人だから入院代ぐらいはあまりがめつく取るなと頼んだが、大山は、久しぶりの息子からの電話に大喜びで、特別室を用意したり、鯛を差し入れたり。貫一とかつ枝は結婚の決意をするが、頑太郎は東京の病院での一件を理由に金持ちはダメだ諦めろと許さない。諦めきれない貫一は、東京へ戻り、裸一貫になって出直すので、籍を抜いてほしいと頼む。