1985(昭和60年)/8/3公開 108分 カラー ヴィスタ
配給:松竹 製作:松竹株式会社
「男はつらいよ」シリーズの35作目は、五島列島で知り合った女性と、彼女に恋する青年の恋の橋渡しをする寅次郎の姿を描いている。脚本は「男はつらいよ 寅次郎真実一路」の山田洋次と朝間義隆による共同執筆。監督も山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当している。
九州、長崎の五島列島に寅次郎は、仲間のポン州とやって来た。二人はケガをした老婆、江上ハマを助けたことから、その晩もてなしを受けることになった。ひとり暮らしのハマの部屋で、寅とポン州はドンチャン騒ぎをする。しかし真夜中にハマの様子がおかしくなり、急に息を引きとってしまう。葬儀の日、ハマのたったひとりの孫娘、若菜が東京から飛んで来た。数日後、寅が柴又の“とらや”へひょっこり帰って来ると、さくらから一通のハガキを渡される。それを読んだ寅は気もそぞろに店を出て行く。ハガキは若菜からの礼状であった。宛名を便りに若菜のアパートに向かった寅は、彼女と再会する。若菜が失業してしまったことを聞き、“とらや”へ戻ると、早速さくら、博、社長らに就職の世話を頼む。ある日、寅は、若菜の留守にアパートを訪れ、そこで民夫という青年と出会った。彼は司法試験合格をめざして勉強するまじめ一点ばりの男であった。だが隣に住む若菜に激しい恋心を抱いていた。民夫の口調から若菜に惚れていることを察知した寅は、諦めろと愉すのだった。若菜が就職が決まったと“とらや”へ報告しにやってきた帰り道、若菜からも民夫にほのかな愛情を抱いていることを告げられた寅は、二人の恋の橋渡しをしようと決める。寅は民夫を呼び出し、恋の手ほどきをする。二人のデートの日、民夫はここぞという時に、前夜の寝不足も手伝って、つい飲みすぎて眠ってしまう・・・。
藤本真澄賞特別賞(島津清)