1987(昭和62年)/2/21公開 86分 カラー
配給:松竹 製作:松竹株式会社
社会からはみ出ながらもひたむきに生きる若者を描いた青春映画。脚本は「愛しのチィパッパ」の関根俊夫、監督はこれがデビュー作となる花輪金一。撮影は池谷秀行がそれぞれ担当している。
チャチャこと小野田千秋は歌手でさえヘイコラするミキサーの助手だが、まだ機材運びしかやらせてもらえなかった。しかし、ディスコに行けば一躍主役のディスコ・キングとなる。千秋は、映画館のモギリ嬢をしている恋人のはるみ、オカマ・バーで働いている勝などと、それなりに楽しい毎日を送っていた。そんなある日、田舎の母・絹代から祖母の法事には帰って来るようにという電話があった。千秋は、はるみに猫のペペをあずけて、帰郷した。千秋の長兄・千太郎は教師、次兄の千春・一流会社のサラリーマンであり、父・千造にとっては、何だかワケの分からない仕事についている千秋だけが悩みのタネだった。翌日、はるみと勝が千秋の田舎にやって来た。いぶかしがる千秋に、はるみはダンボール箱を見せた。ペペが車にはねられて死んでしまい、千秋にひと目会わせるためにドライアイスにつめて持って来たのだった。はるみは声をつまらせて泣き始めた。三人でペペの埋葬を終え、はるみと勝は絹代のすすめで泊ることになった。絹代ははるみを気に入ったらしく、何かと世話をする。両親と縁の薄かったはるみは嬉しくて思わず涙ぐんでしまう。だが、千造には三人のチャラチャラした服が気に入らなかった。「まともな親がいないような娘を泊らせるわけにはいかん!」と千造は言い、勝とはるみは哀しみを押さえて帰っていった。千晶は「俺は何を言われてもいい。でも、はるみのことをロクでなしだなんて言うのは許せない!」と怒り、家を飛び出した。