1987(昭和62年)/5/9公開 80分 カラー
配給:松竹 製作:松竹 / 日映 / キネマ東京
僧侶、親鸞の半生を描く。三國連太郎原作の同名小説の映画化で、脚本は劇作家の藤田傅と本作品で監督デビューした三國連太郎が共同執筆。撮影は「離婚しない女」の山崎善弘が担当している。
1185年、京では連日の様に平家の残党狩りが行なわれていた。人々の苦しみをなんとかしたいと願った彼は、修業の為に比叡山に入山するが、どうしてもその教えに確修を得られず山をおりてしまった。やがて親鸞は、旧い仏教を否定する法然に出会い己れの道を確信する。法然の興した浄土宗は、「宗教は万人のものである」という、当時としては斬新なものだった。この新しい念仏の教えは飢饉や重税に喘ぐ民衆の間に広がっていく。だが、二人は流罪となってしまう。親鸞は越後へ流されるが、やがて念仏弾圧の手が伸びてくる。念仏を信仰する親鸞、彼の妻・恵信、三人の子供たちは、越後から関東に向かう人買いの集めた群れにまじって越後脱出を計った。苦難の末たどりついた関東上野の国は、人買いの阿藤太のふれこみとは裏腹に地獄の様だった。親鸞は懸命に布教活動を始めた。そんな時、村を襲った疫病の為に末子の己己を失ってしまう。親鸞はとめる恵信の手を振り切って、燃え熾る炎の中に己己の遺体を放り込んだ。やがて一家は常陸の国へと移り住んだ。1219年、鎌倉鶴岡八幡宮で、将軍源実朝が八幡宮別当公暁に暗殺された。念仏教止令が発令され、親鸞の布教活動はますます困難となっていく。それでも彼は、確信を持って一つの道を歩み続ける。それは共に歩むことのできない妻子との別れを意味したが、彼は現世に苦しみ、のたうちまわりながら再び旅立った。
カンヌ国際映画祭審査員賞:日本アカデミー賞新人俳優賞(森山潤久)