1988(昭和63年)/4/29公開 75分 カラー
配給:松竹 製作:松竹 / ビッグバン / キネマ東京
現実感の乏しい夢を追い続ける父親と、それにふり回される家族の姿を描く。牧村裕の作文「父」を元に、「二十四の瞳(1987)」の木下恵介が脚本を執筆。監督は「新・喜びも悲しみも幾歳月」の木下、撮影は「星の牧場」の岡崎宏三がそれぞれ担当している。
日暮菊太郎は妻子があり、不惑の年齢を迎えてもなお見果てぬ夢を追い続けていた。地元の鹿児島市で県会議員選挙に立候補するが落選し、家族そろって熊本へ移った。そこでは女子プロレスを興行するが、これもうまくはいかない。家庭を顧みない夫に愛想をつかして、妻の八重はついに離婚を決意。長男・大次郎と共に東京でレストランを始めた。菊太郎の母マツも息子のやることには腹をたてていたが、どうにもならなかった。大阪からブラジルへと渡った菊太郎はチャールズという黒人歌手を連れて帰ってきた。そして自分はプロモーター気取りで彼に「人生劇場」や「お富さん」など日本の歌をキャバレーやナイトクラブで歌わせている。八重と大次郎は鹿児島へ戻ることにしたが、菊太郎は相変わらずおでん屋を始めたかと思うとハワイへ行ったり、と忙しい。おはら祭りの日、マツが踊りに参加するというので八重と大次郎は見に行ったが、二人は人ごみの中に菊太郎の姿を見たような気がしたのだった。