2005(平成17年)/7/30公開 127分 カラー シネマスコープ 映倫番号:117155
配給:日本ヘラルド映画株式会社 / 松竹株式会社 製作:「亡国のイージス」製作委員会
110万部を超えるベストセラーを打ち出した、福井晴敏氏の原作「亡国のイージス」が、空前のスケールで映画化された。この大作を2時間余りの映画に纏め上げるのは至難の業で、原作を読破した人にとっては、完璧な映画化とは言えないかもしれない。しかし、専守防衛を軸にした自衛隊、日本という国家、国民の存在意義という重いテーマを投げかけながら、父と子、上司と部下の間の普遍的な感情に訴える、究極のドラマに仕上げたところは、阪本順治監督の見事な手腕を感じずにはいられない。何と言っても、本物のイージス艦、本物の戦闘機を使った撮影は、CGではどうしようもない存在感がある。そこへベテラン俳優たちの競演が加わり、観客の胸にドシリと響いてくる。超大作の名にふさわしい一本といえる。
東京湾沖で訓練中の海上自衛隊イージス艦「いそがぜ」で、艦長が何者かに殺害された。宮津副艦長は、先任伍長の仙石に、犯人が如月一等海士であると告げ、乗務員を艦から退去させる。しかし宮津は、某国の対日工作員、ヨンファと共謀し、特殊兵器「グソー」の照準を東京首都圏に合わせていた。その頃陸では、防衛庁情報局の渥美たちが対策に乗り出す。なす術を失った政府は、米軍の新型爆弾を使い、「いそかぜ」を空から消滅することを検討しはじめる。