2007(平成19年)/3/3公開 142分 カラー シネマスコープ
配給:松竹 製作:日本テレビ放送網 / リトルモア / 松竹 / 衛星劇場 / 三井物産 / 電通 / 扶桑社 / バンダイフィル / 読売新聞 / 読売テレビ放送 / ガンパウダー / アンシャンテ / フィルムメイカーズ / 札幌テレビ / 中京テレビ / 広島テレビ / 福岡放送
原作は才人リリー・フランキーが亡き母への思いを中心に、親と子、社会と個人、時代によって変わるものと変わらないものの姿を、真っ正直に綴った自伝小説。物語の語り手である主人公”ボク”を演じるのは、日本映画界の星、オダギリジョー。物語の真の主役とも言える”オカン”を演じるのは、日本映画界が支える名女優、樹木希林。そのオカンの若き日を演じるのが樹木希林の実娘・内田也哉子。オカンとボクにつかず離れず、飄々と生きる”オトン”には小林薫。普通の人がただ普通に生きることの難しさと、情けなさと、おかしさと素晴らしさを、しっかり地に足をつけて見つめ直した映画。東京タワーに見守られたこの国で暮らす、すべての普通の人に捧げる映画です。
1960年代、ボクが3歳の頃。真夜中にオトンが玄関の戸を蹴破って帰ってきた。酔っぱらったオトンはボクにいきなり焼き鳥の串を食わせ、そして・・・・・・オカンにホウキで殴られた。故郷の小倉でオカンとオトンとボクの3人が暮らした短くも幸せな日々の、最後の思い出だった。その後、オトンの家を出て、オカンはボクを筑豊の実家に連れ帰った。1970年代、筑豊の炭鉱も煙突から煙が上がらなくなった頃、中学3年になっていたボクは、寂れた町を出て行きたくなった。早くオカンを自由にしてやりたいという思いもあった。大分の美術高校に合格し、一人で下宿生活をすることになった春の日。駅まで見送りにきたオカンがボクに持ったせたカバンには、新しい下着と弁当箱と、しわくちゃの一万円札を忍ばせた封筒が入れてあった。列車の中、オカンのおにぎりと漬け物を噛みしめて、15歳のボクは泣いた。あれから時が流れ1990年代、ボクに関係のないところでバブルがはじけた頃。何もしないでいるうちに溜まってしまった借金を返すため、何でもかんでも仕事を引き受けているうちに、ボクはいつの間にかイラストレーター兼コラムニストとして食えるようになってきた。やっとオカンに心配かけずにやっていける・・・・・・と思った矢先、一本の電話が・・・。