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作品紹介

武士の家計簿

2010(平成22年)/12/4公開  カラー   
配給:アスミック・エース / 松竹 製作:『武士の家計簿』製作委員会

古書店で偶然発見された家計簿、それは国史研究の通念を覆す大発見となった。日々の買い物、親戚付き合い、子供の養育費、冠婚葬祭―家計簿から鮮やかによみがえる、幕末に生きた下級武士一家の暮らしぶり。この家計簿をつけた武士、猪山直之が本作の主人公である。代々加賀藩の御算用者(経理係)として仕えた猪山家の跡取り息子として、家業のそろばんの腕を磨き、才能を買われて出世する。しかし、当時の武家の慣習によって出世する度に出費が増え続け、ついには家計が窮地にあることを知った直之は、ある”家計立て直し計画”を宣言する・・・本作は、激動の時代を世間体や時流に惑わされることなく、つつましくも堅実に生きた猪山家三代にわたる親子の絆と家族愛を描いた物語である。

武士の家計簿
(C)2010「武士の家計簿」製作委員会

ストーリー

江戸時代後半。御算用者(ごさんようもの:会計処理の専門家)として、代々加賀藩の財政に携わってきた猪山家。八代目の直之(堺雅人)は、生来の天才的な数学感覚もあって働きを認められ、めきめきと頭角をあらわす。これといった野心も持たず、与えられた職務を全うするべく、ただひたすらそろばんを弾き、数字の帳尻を合わせる毎日。その姿は、周囲の者が”そろばんバカ”と呼ぶほどだった。そんな直之にある日、町同心・西永予三八(西村雅彦)を父に、商家の娘を母にもつお駒(仲間由紀恵)との縁談がもちこまれる。そろばんを手に「これしか生きる術がない、不器用で出世もできそうもない・・・それでもいいか」と問う直之。「生きる術の中に、私も加えてください」と言うお駒。こうして、直之は自らの家庭を築くのだった。御蔵米の勘定役に任命された直之は、飢餓で苦しむ農民たちへのお救い米の量と、定められていた供出量との数字が合わないことを不審に思い、独自に調べはじめ、城の役人たちが、私服を肥やしていることを知る。米の横流し、経理の不正を知った直之は左遷を言い渡されてしまう。しかし、一派の悪事が白日の下にさらされ人事が一新、鎖線の取り止めに加え、異例の昇進を言い渡される。直之の昇進は名誉ながらも、身分が高くなるにつれ出費が増える、という武家社会特有の構造からますます出費のかさむ猪山家。直之は”家計立て直し計画”を宣言。それは家財一式を処分、質素倹約をし、膨大な借金の返済に充てるという苦渋の決断だった。「貧乏と思うと暗くなるますが、工夫だと思えば」-厳しい暮らしの中で、とりわけお駒は、直之の一番の理解者として、明るく献身的に家を切り盛りするのだった。

武士の家計簿
(C)2010「武士の家計簿」製作委員会
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