2015(平成27年)/6/6公開 120分 カラー G
配給:松竹メディア事業部 製作:松竹
映画初出演とは思えないほど宏として自然にそこに在り、死を目前とした男の絶望と執着を見事に表現した野田洋次郎。宏に力の限りぶつかり、心のすべてで惹かれていく真衣という難役を演じ切った杉咲花。そして本作のために出会い、別れることとなった二人の人間の生の感情を、誠実に厳密にカメラに収めた監督・松永大司。彼らをはじめ全キャスト、全スタッフの思いが、いくつも小さな奇跡を串刺しにして、ピエタの歴史に名を刻む、高貴な美しさを湛えた作品を誕生させた。
「今一緒に死んじゃおっか?」余命3ケ月と告げられた宏(野田洋次郎)は、出会ったばかりの女子高生・真衣(杉咲花)から、そう誘われる。バイクの後ろに彼女を乗せてスピードを上げるが、そのまま死ぬことはできなかった。画家への夢を諦めてフリーター生活を送っていた宏にとって、ただやり過ごすだけだったこの夏。それが人生最期の夏に変わってしまった時、立ちはだかるように現れた真衣。「あのさ、背の低い子とキスする時はどうするの?」純粋な真衣に翻弄されながらも、二人は互いの素性も知らないまま、反発しながらも惹かれ合っていく。