1981(昭和56年)/10/10公開 100分 カラー ビスタ 映倫番号:110566
配給:東映セントラルフィルム 製作:中島丈博プロダクション
めくるめくようなロマンと陶酔の世界を描いた短編小説のようなひと夏のスケッチ。
脚本家・中島丈博が設立した製作プロダクションの第1回製作作品。
同時上映「とりたての輝き」/配給受託作品
真夏の湘南海岸。一人の若者がただボンヤリと海を見ていた。若者の名は須田浩。高校を卒業後、さしたる目的もなく無気力な毎日を送っている。沖合には一隻の豪華な帆船が海岸の喧噪を無視するかのように浮んでいる。突然、浩の身体が大きくダイビングして海中へ舞うと、その帆船に向って泳ぎだした。そして、彼がそこで見たものは、燦々と降り往ぐ太陽のもと、古代ギリシャの彫刻にも似たアポロのような男とヴィーナスのような女とのセックスであった。海の青さと太陽の光に祝福され、開放的かつ健康的な男と女の交りはそれまで浩が抱いていたセックスのイメージを大きく打ち砕いた。この一瞬から浩は自分のヴィーナスを深し求めるようになった。浩にほのかな想いを寄せる少女・美紀は彼の好きなヨットの話を持ち出し、とある場所に誘い出す。だが、皮肉にも浩の眼はある一点に釘づけとなった。深し求めていたヴィーナスがそこにいた。ヴィーナスの名は磯村響子、売れっ子のファッションモデルである。浩は執拗に接近するが、響子は全く相手にしない。そんな時、浩の前にルポライター崩れの男・田俊介が現れる。田は浩の積極果敢な行動に好感を持ち、響子に関する情報を提供するのだった。男性遍歴の多い響子の日常を聞かされた浩は、ますます響子に対する想いを燃焼させてゆく。強引なまでの浩のアタックは幸運にも響子との一夜のベッドインを成功させるが…。