1983(昭和58年)/10/29公開 92分 カラー ビスタ 映倫番号:111133
配給:東映セントラルフィルム 製作:PRODUCTIONRYUJI
小劇場を根城に演劇公演をつづけてきた金子正次が演劇から離れ、そのエネルギーをたくわえて仕上げた意欲作。主人公の花城竜二の名前「竜二」を題名にしたこの映画は、青春をすぎようとしている新宿のやくざ竜二が、金と出世欲だけで動くやくざに、ふと、うとましいものを感じ、やくざ社会の落ちこぼれとして堅気の人間になって行くといういわば、やくざの内部から市民社会へと “恐怖の一歩”を踏み出して行く物語。
配給受託作品
花城竜二は新宿にシマをもつ三東会の幹部である。だが、その竜二も、3年前は器量もなく、舎弟を連れて新宿をのし歩いていただけだった。拘置所に入れられた竜二の保釈金を工面するため、妻のまり子は当時生まれたばかりの娘を抱え九州の両親に泣きついた。両親はやくざの竜二と別れるならという条件で大金を出してくれた。事情を知らずに保釈で出てきた竜二は事情を知って怒り狂うが、約束どおりに妻とは別れた。竜二の器量が上がったのはそれからだったが、幹部としての安定した生活の中、いくら金を手に入れ、別れた妻への仕送りをしても、充たされないものが体の中を突き抜けていく。そして、新宿のある店を巡る権利金の争いをまとめたことがきっかけで、竜二はやくざ社会から足を洗う決意をする。堅気の世界へ勇気を奮って踏み込んでいった竜二。妻と娘と竜二との、ごくありふれた市民生活。酒屋の店員としてトラックで走り回る毎日…。だが、穏やかな堅気の暮らしが続いていくかに思えたのも束の間、竜二の人生は破局へと向かっていた。