1987(昭和62年)/5/23公開 99分 カラー ビスタ 映倫番号:112372
配給:東映 製作:東亜興行 / 広済堂エンタプライズ / ヴァンフィル
衝撃的な映画「竜二」の公開後、33歳の若さで世を去った俳優・脚本の金子正次が、死の三ヶ月前、入院中に執筆したこの「ちょうちん」はいわば金子正次の遺言ともいうべき作品である。
東京・新宿-そのわいざつな街を舞台に、ガンに冒されながらヤクザとして生きる若者の逞しく、痛ましく、そして哀切きわまりない生きざまが風に揺れる“ちょうちん”に託して描かれている。
新宿。三東会のヤクザ村田千秋は、ある夜、新入りホステス・新子に目を止めた。千秋は新子に、自分の夫がヤクザもので数年前に殺されたことを告げられる。そんな折、千秋は不渡りをつかまされた。本橋という男から取立てた額面150万円の約束手形だ。その約手は、本橋が息子のバッグから盗み取ったもので、その息子は、光陽銀行の融資係なのだ。早速、千秋たちは手形を持って光陽銀行へ乗り込んだ。青くなった支店長と融資係の平山は、その手形を1,000万円で買い取るというが、千秋はそれを断って当座預金の口座を開かせると3,000万円の大金を融資させて念願の事務所を開いた。いつまでもちょうちんみたいにフラフラしてはいられない。そろそろ運が向いて来たと感じたものの、そうは問屋がおろさなかった…。