1988(昭和63年)/4/9公開 119分 カラー ビスタ 映倫番号:112611
配給:東映 製作:東映
「うっかり抱くと危ないよ!このカラダん中に爆弾抱えて生きてるんだ!」
戦後、闇市時代に仇花のように狂い咲いた街の女たち―パンパン。原作は、戦後間もなく発表されるや、ベストセラーとなった田村泰次郎の「肉体の門」。当時、肉体文学の名の下に一世風靡した衝撃小説を、巨匠・五社英雄監督が現代の男女と戦争直後の男女との対比をアンチテーゼ的に捉えた。かたせ梨乃を軸に長谷直美、名取裕子が脇を固める。
昭和22年秋、米軍占領下の東京、廃墟と化した都心のドブ川沿いにある3階建ての焼け跡ビルが、せん達のヤサ(家)だった。せんを筆頭に、マヤ、花江、美乃、光代、幸子、そして新入りの町子らは、身体を売って生きる街娼、いわゆるパンパンである。みんな一様に戦争孤児であった。せんの関東一家はお澄が率いるラク町(有楽町)一家とシマをめぐっていつも対立していた。
一方、闇市を仕切るヤクザ・袴田一家は、せん達の集団を支配下に入れ、ついでに焼け跡ビルを手に入れようとしていた。袴田の魂胆を見抜いたせんは、ビルの地下2階に引っ掛かるように突き刺さった巨大な1トン爆弾を、袴田一家の面々に見せつけた。それは2年も爆発しなかった不発弾。だが、いつ、どんな拍子に爆発するかもしれないシロモノだ。しかし、せん達にとってはこの爆弾こそ自分達の守り本尊だったのだ。