1999(平成11年)/1/15公開 113分 カラー ビスタ 映倫番号:115332
配給:東映 製作:東映 / フリーゲートプロモーション
深作欣二監督が、名匠・新藤兼人のシナリオをもとに初めて挑戦した本格的女性ドラマ。
昭和30年代売春禁止法施行前夜、京都花街の置屋から17歳の少女・時子が自ら進んで舞妓となり、“おもちゃ”という源氏名でやがて水揚げされるまでをドラマチックに描く。
一人の少女が、京都の芸者置屋に身を置いて、やがては舞妓になる晴れの日を待っていた。京都に古くから続く花街-そこはお金で“性”の売り買いがなされる、俗に色街とも呼ばれてきた世界。今から40年ほど前、最後の賑わいと華やぎを見せていた、この花街の置屋に生きる様々な女たちは、みな一様に貧しい身の上でありながら、ひるむことなく日々生き生きと輝いていた。
女将の里江は、長い芸妓生活の後、置屋・藤乃屋を持った色街生え抜きの女。芸妓の照蝶、染丸、君竜は三人三様、奔放な色恋沙汰、金と男に明け暮れながらも、「男はんに騙される前に騙すんや!」と、キッチリ芸者稼業の哲学を身に付けているのは流石。
こうした女たちの間にあって、下働きをしながら先輩たちの生き様を見つめ、舞妓を目指す17歳の少女・時子は、本来ならまだ夢見る年頃のはず。しかし時子は、貧しい家族を支えるために、健気にも自分の境遇や将来をしっかり見据えて、お金の取れる舞妓に自ら進んでなっていく。
やがて時子は“おもちゃ”という名で舞妓としてデビューする日を迎える。自分が大人の女へと脱皮する瞬間。自分を待つ男の部屋に入っていく時子の表情には一点の陰りもなく、凛々しさだけが際立っているのだった。