2000(平成12年)/4/1公開 115分 カラー ビスタ 映倫番号:115632
配給:東映 製作:「はつ恋」製作委員会
世紀末の日本に彗星のように現れ、強くて純粋なまなざしと、他の誰とも違う存在感でたちまち映画・CM・ドラマなど各方面から熱い注目を浴びた田中麗奈。 その最新主演映画「はつ恋」がいよいよ公開となる。 田中麗奈が演じるのは病に倒れた母が心に閉じ込めたままの、切ない思い出をひたむきに探し求める少女・聡夏。 デビュー作「がんばっていきまっしょい」で、圧倒的な評価を得た確かな演技力で、高倉健とのCMなど日本を代表する俳優とも共演してきた彼女が、今作でも原田美枝子、真田広之、平田満という大先輩に支えられて新たな魅力を充分に発揮している。 監督は「月とキャベツ」「きみのためにできること」の俊英・篠原哲雄。 脚本は、岩井俊二監督作品「LoveLetter」「undo」をプロデュースした長澤雅彦が担当。そしてオルゴールの鍵が見つからなかったことから始まるこの映画の、まさに大切な鍵となる音楽を手掛けたのは、宮崎駿、北野武両作品に数々の名曲を提供している久石譲。切なくて心に残るメロディが全編を満たしている。出会いも、別れも、暖かく受け止める春という季節のなかで、身近すぎた母の本当の思いを知った少女は、戸惑いながらひとつ大人になってゆく・・・。 これは今までになかった新しさと、眼を閉じれば誰の記憶にもある懐かしさを重ね合わせた、やさしく爽やかな人生の物語である。
会田聡夏・17歳の夏休み。それまで当たり前のように過ごしてきた毎日は、母・志津枝の突然の入院で大きく変わりはじめる。父・泰仁との、妙にギクシャクしたはじめての2人暮らし。いなくなってはじめてわかった母の存在の大きさに、聡夏は動揺を隠せない。検査の結果が思わしくないとわかった次の日、聡夏は志津枝が大切にしていた古いオルゴールを聞く。 「どうしてもその曲が聴きたいのに、いくら探してもオルゴールの鍵が見つからないの」 志津枝に内緒でオルゴールのネジをドライバーでひとつひとつ外していく聡夏。 しかし中から出てきたのは、メロディではなく、古い封筒と一枚の写真だった。 色あせた写真に写っている2人の若い男女。 女の方は志津枝だが、男の方はどう見ても父ではなかった。 封筒に書かれている住所は、志津枝の故郷を同じ長野県上伊那郡。 しかし宛名には聡夏の知らない名前があった。 藤木真一路様・・・ 心をつかまれるような思いで、封筒の中の手紙を読みはじめる聡夏・・・ 「私たちはこのまま終わりになってしまうのでしょうか?あの願い桜の下でもう一度だけ会ってください・・・桜が咲いたらもう一度」 それは24年前に母が書いた、父ではない誰かへ宛てたラブレターだった。このひとを、探しに行こう。聡夏は意を決して長野行きの高速バスに乗り込む。 ・・・願い桜が散ってしまう前に、24年前のお母さんの約束、私が絶対にかなえてやる。
第24回日本アカデミー賞(優秀主演女優賞)