2001(平成13年)/10/20公開 123分 カラー ビスタ 映倫番号:116147
配給:東映 製作:「GO」製作委員会
直木賞を受賞した金城一紀の同名ベストセラーを映画化。在日韓国人をテーマにしたこれまでの小説には見られない原作のポップなグルーブ感を損なうことなく巧みに、さりげなく映像化した行定勲の演出は秀逸。スタイリッシュなストーリー構成でユーモア溢れるセリフ満載の脚本も官九郎節が炸裂し「クドカン」ファンの期待を裏切らない。恋に友情に悩み傷つきながらも、国籍や民族といったボーダーに捉われない新たなアイデンティティを徐々に見出していく主人公の青年を窪塚洋介が爽快に演じる。
普段は意識しないが、杉原は韓国の国籍を持つ所謂「在日」。中学までは民族学校に通っていたが、広い世界を見たくなり日本の普通高校に入学した。未だに将来の夢も進路も決まらず、バスケ部をやめて以来、喧嘩しかすることがない。父に、幼い頃から仕込まれたこともあって喧嘩は24連勝中。記念すべき初勝利の相手は、ヤクザの息子で同級生の加藤。今では親友だ。ある日、杉原は加藤のバースディパーティーで声をかけてきた少女・桜井と突然の恋に落ちる。ぎこちないデートを重ね、2人で同じ場所を歩き、同じものを観て、同じものを聞く度にお互いの気持ちが近づいていくのが分った。桜井の家に招待されて両親に会い、かみ合わない会話を交わした後、2人は部屋でキスをする。・・・いつかは告白しなきゃならない。自分が「在日」であることを…。そのことが、時々杉原の頭をよぎるけれど、それで全てを失うはずはないと思っていた。怖いくらい何もかもがうまく回り始める日々に、杉原は有頂天になっていく。悲劇は突然起こった。在日の親友・正一が駅で少年に刺され、命を落としてしまう。「話したい事がある。すげえ事なんだ。オマエなら分ってくれると思うんだ」直前まで正一と話していた杉原の耳には、正一の最後の言葉がいつまでも残って離れなかった・・・。