2002(平成14年)/9/14公開 111分 カラー ビスタ 映倫番号:116365
配給:東映 製作:映画「命」製作委員会
「愛することということは、その想いを行為に変えることではなく思うことそのもの」---命をめぐって繰り広げられる懸明な愛の物語。原作は芥川賞作家・柳美里のベストセラー小説「命」シリーズ。主演・柳美里役に江角マキコ。そして東京キッドブラザースの主宰者であり劇作家の東由多加役に豊川悦司。筧利夫、麻生久美子、寺脇康文、樹木希林、岸谷五朗、斉藤由貴、江守徹らが共演。監督は「月とキャベツ」「はつ恋」などの俊英・篠原哲雄。また主題歌安室奈美恵。
1999年初夏、作家柳美里は、東京にある医療センター・産科病棟の診察室で、お腹の子供の映像を見ていた。彼女は妊娠していた。しかし、父親となる男性は結婚しているため、産むべきかどうか決心がついていなかった。 救いを求めるように美里は、作家としての自分の才能を引き出してくれた恩人であり、また、激しい葛藤の末別れたかつての恋人、劇団主宰者・東由多加を訪ねる。だが、そのときはすでに、手の施しようのない癌に侵されていた。 その日から、美里と東の二人三脚の闘病生活が始まった。なんとか東を助けたいと奔走する美里に、編集者など友人・知人も力を貸してくれる。また、美里の妊娠は彼女の家族に新しい絆を芽生えさせていた。高校中退後から疎遠だった母親は、過去に自殺未遂をくり返していた美里の妊娠を知って泣きながら叫ぶ。「これであの子は、簡単に死ねなくなった・・・バンザイ。バンザイ!」 しかし一方で、彼女の中のもう一つの命は別の問題を投げかけていた。子供の父親である相手が、出産後の養育費の話し合いにもなかなか応じてくれないのだった。「僕に子育てを手伝えって?・・・・昔の男によく言うね」 苦しむ美里に、東は自分の病のすべてを知りながら手を差し伸べる。「あなたが一人で子育てする姿は想像できないね」それは新しい命を生み、ともに育てる約束だった。
第26回日本アカデミー賞(優秀主演男優賞・優秀主演女優賞・優秀録音賞)