2008(平成20年)/11/1公開 118分 カラー シネマスコープ 映倫番号:118003
配給:東映 製作:「まぼろしの邪馬台国」製作委員会
昭和40年代初期、日本の邪馬台国ブームの火付け役となった大ベストセラー「まぼろしの邪馬台国」の著者であり、全盲の文学者としても有名な宮崎康平と、妻・和子の夫婦の軌跡を描いた作品。
復興の戦後を、大きな夢と希望を持ち続け、生き抜いた夫婦の姿を、康平を支えた妻・和子の視点で、康平の夢見た邪馬台国の姿も映像で再現し、殺伐とした現代の日本に、古代から連綿と続く、熱い、日本人像を描く。
昭和31年、博多。邪馬台国の実像を知ることが日本人の起源を探ることである。そう語るのは、全盲でありながら島原鉄道の社長であり郷土研究家でもある宮﨑康平。破天荒で傲慢ながら、どこか憎めない人柄だ。
島原に観光バスを走らせるという新事業で、ラジオの声優をしていた長浜和子が、バスガール・教育部長として迎え入れられた。
バス事業が成功し、鉄道経営も少しずつ上向きになりかけたある日、康平が行方不明になった。間もなく無事に見つかったが、「わが郷土、島原は遺跡の上に出来た町」と、神がかりなことを言い出す。
復旧作業が始まると、次々と土器が発掘される。しかし、康平の解任によって雲仙観光バスは廃止、和子が島原にいる必要もなくなった。荷物をまとめて島原を発つ日、駅で和子を待っていたのは康平だった。こうして、康平の妻として、和子の新しい生活が始まった。それは目の見えない康平の代わりに和子が魏志倭人伝、日本書紀、古事記を読んで聞かせ、康平がそれを読み解き、“まぼろしの邪馬台国”の場所を探すという共同作業だった。ただ、書物には限界がある。和子は、実際の場所に行って確かめようと康平に提案する――「私があなたの目になります」と。康平の夢はいつしかふたりの夢となっていたのだ。
九州の美しい大自然を舞台に、ふるさとに眠る太古の謎を解き明かそうとした、二人の旅が今始まる。