2003(平成15年)/9/13公開 113分 カラー ビスタ 映倫番号:116695 PG12
配給:東映 製作:東映 / 東映ビデオ / 日本出版販売 / ピラミッドフィルム / ケイダッシュ / トゥループロジェクト / 東京映像工房
「私、脱いでもすごいんです(TBC)」や「優香のピンキリッ(カーセンサー)」などで知られる CM界の奇才、グ・スーヨン。原作は、グ・スーヨンが昨年発表した小説「偶然にも最悪な少年」。作者本人が映画としては初めてのメガホンを取ることになった。コピーライターである弟・具光然がシナリオを担当。しかし、シナリオの初稿を映倫に持ち込んだところ、〈セックス〉〈暴力〉〈ドラッグ〉の表現が過激だということで、その8割近くに赤字が入るという異例のスタートだった。危なっかしさとヤバさが面白い子供たちのリアリティ、そこから目を背ける大人たちこそホントにヤバい。いわくつきの過激さは、あまりに過激だからこそ、ポジティブなやさしい世界として淡々と描かれていく。
自分の中に自分ではどーしようもできない自分がいる。在日韓国人のいじめられっ子、ヒデノリ。強迫性障害で盗癖のある女の子、由美。渋谷をブラブラしているチーマー、タローさん。手首を切って自殺したヒデノリの姉、ナナコ(死体)。世の中からはみだしてしまった三人と一体は、白いオンボロマークIIに乗り込み、博多を目指して走り始めた。自殺した姉、ナナコに一度でいいから祖国を見せてやりたい。ヒデノリの無謀な計画に、妙な偶然から荷担することになった由美とタロー。ナナコの死体を病院から盗み出し、博多、小倉、下関、ひたすら西へ向かうカレらは、目の前にあるネガティブな現実を受け入れ、少しずつポジティブに歩み始めようとする。由美はヒデノリをクールに想い、タローはヒデノリをやさしく否定する。そして、最後まで計画を完成させるために、.ヒデノリはつぎつぎと犯罪を重ねていく――。
第27回日本アカデミー賞(新人俳優賞)