2003(平成15年)/11/22公開 109分 カラー ビスタ 映倫番号:116646
配給:東映 製作:両沢和幸
「ナースのお仕事/ザ・ムービー」の両沢和幸による青春ドラマ。ロックスターとしてピークを過ぎた青年が、故郷で新たな人生を歩み始めるまでを丁寧に描き出す。自信過剰で傲慢だった主人公が、病床にあって家業の工場を必死で立て直そうとする父や迷いながらも逞しく生きる旧友達の姿に接し、自分自身と真剣に向き合うまでの心の変化を、ロック・バンド”to be continued”の元ヴォーカル、岡田浩暉が熱演。主題歌と挿入歌の作曲も担当している。
高原英二はロックバンド『ブラフ』のヴォーカルである。嘗ては一世を風靡したが、今ではメンバー間の不仲も表面化し、場末のライブハウスで投げやりな演奏を繰り返す日々。同棲相手の陽子との仲もマンネリ気味である。最近新曲を出していないバンドは遂にレコード会社から契約を切られてしまう。英二が気晴らしに故郷に帰ると、工場を営む父が病気で入院している。夫の看護をしながら工場の経営も見なければならない母は疲れきっていた。病床の父は、英二が歌手として行き詰っていることを察し、帰郷することを勧めるが英二は「俺は、まだこれからなんだ!」と拒絶する。強がる英二に追い討ちをかけるように陽子から連絡が入る。バンドが英二を外し新しい女性ヴォーカルを入れるというのだ。東京に戻ろうとする英二、しかし、まさにその日、父の容態が急変した。父の死。遺された工場と従業員達の不安。英二に重い現実が圧し掛かる。「お父さん、本当はお兄ちゃんに工場を継いで欲しいと思っていたんだよ。」妹の言葉が英二の胸に突き刺さる。母は工場を閉鎖し廃業することを決意した。小さな工場を守り続けてきた両親の人生を思い、故郷の旧友たちが家業を継いで地道に生きる姿を目の当たりにした時、スランプだった英二の中から新しい音楽が生まれた。それはショウビジネスとは無縁の、英二の心の底から生まれた音楽だった。