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春よこい

LONGING FOR SPRING

2008(平成20年)/6/7公開 109分 カラー ビスタ 映倫番号:118056 
配給:東映 製作:映画「春よこい」製作委員会

昭和晩年の佐賀県唐津市を舞台に人間味あふれる人々に見守られながら強い絆で結ばれた母と子の物語を描いた映画『春よこい』。
監督は、NHKドラマの演出で国内外問わず数々の賞に輝き、映画『オリヲン座からの招待状』で監督を務めた三枝健起。主人公・芳枝を演じるのは、『ヒマラヤ杉に降る雪』、『SAYURI』への出演など、ハリウッドからも高い評価を受け、本作が『戦争と青春』以来17年ぶりの日本映画主演となる工藤夕貴。共演には『大奥』の西島秀俊、『LIMIT OF LOVE 海猿』の時任三郎など実力派俳優を揃え、指名手配犯となった夫を想う妻と子、そして2人を取り巻く人間模様から愛や家族とは何かを問う感動作。

春よこい
(C)2008 映画「春よこい」製作委員会

ストーリー

唐津市呼子町で漁業を営む尾崎修治は、妻の芳枝、息子のツヨシ、父親の一平と、貧しいながらも暖かい家庭を築いていた。だが秋祭りの日、高利貸しの野田と借金のことでもみあったあげく、彼を死なせてしまう。そして、そのまま姿を消した。
それから4年後の秋。ツヨシは、いまだに修治を強く慕い、帰りを待ち続けている。網小屋の屋根の上、修治が空き缶で作った風車は、錆び付き、もう動かない。ツヨシは、父の事件以来、学校で心を閉ざしがちだった。担任の岡本洋子は心配し、兄の利夫に相談する。佐賀日報呼子支局の新任支局長である利夫は、修治の事件に興味をそそられる。ある日、彼は交番前で掲示板をじっと見上げているツヨシを見つける。その掲示板には、今年もポスターの張り替え時期を迎えて掲示された指名手配犯・修治の写真があった。目を潤ませて、父の頬に触れようと手をのばすツヨシ…。利夫は、秘かにシャッターを切る。
翌朝、新聞には、ツヨシの写真とともに、『父ちゃん、今年もまた会えたね』という見出しの記事が載った。それは、小さな町に大きな波紋を投げかけた。事件の噂は蒸し返され、ツヨシは学校でいじめられた。洋子は兄に怒りをぶつける。
芳枝もまた、働く魚市場から休みをだされ、弱みにつけ込んだ組合長・吉田に言い寄られもした。そして芳枝は、4年間耐え続けて来た哀しみを、姿なき夫に叫ぶのだった。そこには、どんな時でもツヨシを笑顔で包み込む気丈な母の姿ではなく、愛する夫の思い出に涙するひとりの女性の姿があった。
利夫は自分の記者魂がどれだけ芳枝親子に酷い仕打ちになったかを悟り、芳枝に頭を下げる。芳枝は、ずっと夫の帰りを信じており、そして、信じ続けることが幸せだと心の奥を見せた。
その頃、とある工事現場で働く修治は、ツヨシの写っている新聞を見つける。写真を震える指でなぞり、苦悶の涙を流す修治…。
今や記者としてではなく、ひとりの人間として、利夫は、母子のために動き出す。たとえ一晩だけでも、修治と母子の暖かな夜を作ってあげたい…。しかし、記事が出て以来、修治が戻る可能性を考え、尾崎家近辺は安藤刑事らに張り込まれていた。
果たして、ツヨシが見上げる屋根に、あの風車が春の風を受けて回る日は、来るのだろうか?

春よこい
(C)2008 映画「春よこい」製作委員会
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