1973(昭和48年)/2/10公開 97分 カラー シネマスコープ
配給:ATG 製作:白楊社
「鉄砲玉」とは、あるヤクザ組織が他の組織の縄張りを侵略する際に、そのキッカケを作るべく送り込まれる兵隊のこと。その条件として幹部の一人がいみじくも言う。“血の気が多くて、クソ度胸があって、できるだけどでかい音を立ててハジけるヤツ”中島貞夫監督がATGと初めて組んで製作した作品。短期間ではあるが生まれて初めて味わう充足感に酔いしれるチンピラの生き様、死に様を描く。
兎売りのちんぴら・清は、“報酬100万円”につられて、九州制覇を目論む組の手先となって宮崎に乗り込んだ。いっぱしの兄貴風を吹かせて夜の盛り場へ足を延ばしてみたものの、いざとなると恐怖に駆られてホテルへ逃げ帰る有様の清は、恐怖感を紛らわすようにセックスに明け暮れ、挙句の果てに対立していた組と宮崎の組織に手を打たれてしまう。それを知らせてきたのは、騙されて、清にトルコへ売られたよし子である。所詮は使い捨ての鉄砲玉。おめおめと組へ戻るもならず、孤立した清の元に残ったのはよし子だけ。「あんたの兎、大きくなったよ。」そんなよし子が無性に腹立たしく、八つ当たりする清。そのとき、以前交渉のあった女の訴えで警官がやってくる…。