1949(昭和24年)/4/11公開 87分 モノクロ スタンダード
配給:松竹 製作:東横映画
雨の夜に、山手劇場に現れた女の姿は、四年前に自殺した人気歌手・野上静江にそっくりであった。彼女の正体は静江の妹の珠江で、珠江の熱望を受け演出家の村川は彼女を入団させるのだが、それ以来不思議な事件が続く。静江の死後傾きかけた劇団の再建への努力は興業界のボス河田に妨げられ、唯一のスターであった月影みどりも河田に奪われた。村川は珠江を主役に抜擢すると、彼女は姉にも勝る才能でたちまち人気を得る。だがまたもや河田が珠江を狙い始めた。そんな頃、山手劇場には開かずの間から静江の歌声が聞こえるという騒ぎが起きていた。退団者が相次ぐ一座に、珠江は村川と運命を共にしようと心に決めたが、実は村川こそが、姉静江の愛情を踏みにじった張本人であることを知る。村川から逃げ出した珠江を河田は受け入れ、日比谷音楽堂の音楽会で歌わせて大成功を収める。本来は自分が歌うはずだった出番を珠江に奪われたみどりだったが、珠江の歌に感銘し怒りが消えうせてしまった。河田は待合に珠江を連れ込むが、みどりが珠江を救出した。河田こそ姉の貞操を奪った悪魔だと知った玉枝、みどり、そして村川は再び劇団再建を誓い合う。だが、河田が最後の妨害をするために山手劇場に現れた頃、何故か珠江は死んだ日の姉と同じように、怪しい口紅を塗ろうとしていた…。