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耳鼻咽喉科坂口医院の院長・坂口喜久子は、夫で区役所の出張所勤めの清三郎と、官庁勤めの妹のり子、学生の弟敏之、それに母親のとねと看護婦のテルらと暮らしている。勝手気ままな暮らしを望んでいた喜久子は清三郎に用事を言いつけ、お人好しの清三郎は全て受け入れていた。ある日、病気になった実業家の榎本を診察した喜久子は急速に榎本と親しくなり、休日の外出が増えていった。妹たちはそんな喜久子を非難するのだが、清三郎はそれでも彼女を否定しなかった。だが喜久子自身からも浮気を宣言され、遂に清三郎は思い悩み始めた。榎本が全快し湯河原に旅行に行くのに喜久子は付き添い、清三郎は区議会の選挙に立候補を決意する。だが、喜久子は榎本に言い寄り食い下がるが、榎本は喜久子を相手にしなかった。失意のまま、みぞれ降る東京に帰ってきた喜久子が見たのは、ずぶ濡れになりながらも演説をやめない清三郎の真摯な姿だった…。