1953(昭和28年)/4/29公開 120分 モノクロ スタンダード 映倫番号:983
配給:東映 製作:東映
人間山下泰文の生ける姿を追求しながら、大いなる日本の悲劇を衝く雄渾の大作。「ひめゆりの塔」に次いで各方面より注目を浴びた問題の野心作で、早川雪舟一代の名演技が見る者の心を搏って胸にせまる。
日本が忘れえぬ大いなる悲劇に突入した頃、山下奉文将軍はマレー戦線を南下し、シンガポールを一気に占領し、「マレーの虎」と謳われ讃えられた。だがその後ガタルカナル転進からのサイパン失陥により、日本の情勢は一気に変化。山下はフィリピン防衛の第一線に立たされることになった。マニラに到着した山下は、繰り返される大本営の作戦変更に翻弄されながらも、兵士や在留邦人のために尽力する。だがレイテ島は激しい砲撃にさらされ、富永特攻隊司令官は台湾に逃げ出してしまった。それを責めることなく真夜中に歩哨兵を労う山下だった。参謀達はそんな山下を慕い、彼の下にいることを誇りに感じていた。だが大勢は如何ともしがたく、マニラを死守していた岩下少将は遂に玉砕し、傷つき倒れる兵士の数は日々増えていく。次第に何処にも逃げ場がなくなっていく中、兵士のためにも司令部を守る山下だった。一九四五年八月十五日、終戦。そして九月三日に山下大将は投降した…。