1953(昭和28年)/8/10公開 99分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1055
配給:東映 製作:東映
七つの顔をもつ名探偵多羅尾伴内久々の活躍。日本の財宝「片目の魔王」をめぐって次々に起きる連続殺人事件の謎。巧みな変装によって怪事件の真只中に飛び込み、得意の二挺拳銃を縦横に裁く、本格的探偵篇。
月明かりの海上を筏にくくりつけられて漂流していた、相川鉄夫という男が保護された。相川の左腕には生々しい傷跡があり、彼が密輸に絡んだ事件に巻き込まれていたと推察した市警本部だったが、相川は何も語らなかった。相川は釈放となり、市警は行動を監視しようとするが、彼の前に現れた船員風の男は、相川を銃撃から救い、アパート楽々荘の名前を教えて去っていった。実はその正体はおなじみ名探偵、多羅尾伴内。相川は伴内に、南海丸でリンチを受けたことを告白する。その南海丸の船上では、船長の西脇と宝石商の古川が、荷揚げの魚の中から密輸した宝石を取り出していた。彼らは「片目の魔王」という大ダイヤモンドを狙っていて、その在処を知るのは相川ただ一人だった。相川は渡名喜キヨ・マサミという姉妹が踊っているキャバレー・エムパイアに向かうが、同じ頃密輸団の一味の男広田もエムパイアにいた。相川は渡名喜姉妹と再会するが、突然の暗闇の中で銃声が響き、広田が絶命。大沢警部は相川を犯人と睨むが、伴内はこれを強く否定する。そして広田の仲間の寺元という男が路上で死んでいるのが発見された。伴内は渡名喜キヨに話を聞くと、彼女の亡き父がビルマからの帰還中に「片目の魔王」を沖縄のある島に埋め、マサミの恋人であった相川が取りに密輸船に乗ったのだが、そのことを知った仲間に暴行されたのだという。そして又、密輸団に関わる人間の死体が発見された…。