1953(昭和28年)/9/22公開 87分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1091
配給:東映 製作:新生プロ
真人間が装うギャングの化粧と頭上に押された運命の烙印。シラミ谷と呼ばれる犯罪者の逃亡地帯を中心として、そこにうごめく絶望の人間たちを描くギャング映画の異色篇。鶴田浩二の魅力が全篇に
大都会の片隅に隠れた小さな町。そこは警察の力が及ばぬ逃亡地帯であった。この町に住む人々は異様な雰囲気を持っている。その一角で粗末な診療所を営んでいた女医の美和子のもとへ、傷ついた乾分を連れた津村という男が現れた。この町に逃れこんできた津村は、早速美和子の美貌に目をつけた。嘗てこの町で花世という娘の父親が警官に命を奪われた事件があり、それ以来町の人々は警官を恨んでいる。だが、警官と同じぐらい逃亡者を歓迎していない。津村たちに対し、町の人は「不死人」という名前を口にする。美和子の兄であり、この町一番の力自慢のタローでさえ恐れる「不死人」と呼ばれる男。だが彼は1年前に街から姿を消し、幽霊ポプラの葉が茂る頃に戻ってくるという噂だ。密かに不死人を愛していた花世も、美和子も、彼の戻りを待っていた。そして不死人は帰ってきた。だが彼の表情は暗く翳り、以前の明るさを捨てていた。そして不死人は、知るはずもない津村一味に突然決闘を挑む。不死人の正体は警部補梶川昌三で、美和子も実の妹ではなかった。全ては津村を捕まえるための変装に過ぎなかったのだ。そして、花世の父を謝って殺害したのも、不死人自身だったのだ…。