1953(昭和28年)/11/3公開 95分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1170
配給:東映 製作:東映
御用提灯の真只中に女の面影を求めて斬って斬りまくる嵐の信州路を背景に千恵蔵の鼠小僧次郎吉が義理人情と男の心意気を見せて胸のすく演技を展開する圧巻篇。
その義侠ッぷりで江戸中の評判となっていた鼠小僧次郎吉が、江戸からぷっつりと姿を消した。自分の盗みによって遊女に身を落とした娘お小夜を救う悲願を立て、つばくろの藤太郎と名を変えて中仙道に草鞋を履いたのだった。途中次郎吉が草鞋を脱いだのは十手を預かる大判屋金兵衛の宿。その次郎吉の後を、江戸ニ長屋の名岡引政五郎と乾分の半次が追う。この金兵衛は、目に余る悪行の数々を繰り返し、今日も次郎吉や木場の弥吉、清兵衛を相手にイカサマ博奕を仕掛けていた。イカサマを見破り憤る弥吉に代わり、金兵衛が巻き上げた十三両を夜中にこっそり盗み出し弥吉らに返す次郎吉。その気風に惚れた弥吉を引き連れて、松井田の宿えびす屋にやってきた次郎吉たち。その夜金兵衛は、清兵衛を賭場に引っ張り無理矢理金を巻き上げる。金兵衛が狙うのは清兵衛の娘お時だったのだ。だが清兵衛等から巻き上げた八十三両も次郎吉が盗む。清兵衛が取られた分を返し、そのまま小判屋でお時を救い出したものの、捕手に追われ間一髪のところを、小判屋の売れっ子おたかに匿われ助かった。だが実はこのおたかこそ、自分が救うべきあのお小夜だったのだ。そしてもう一人、金兵衛の命令で二人を見張っていた銭八は、次郎吉が自分の息子であることに気付く…。