1954(昭和29年)/3/24公開 122分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1254
配給:東映 製作:東映
北九州を舞台に、大いなる夢を追い求める逞しき男女の姿を、波乱万丈の物語の中に描いた火野葦平の代表巨編を映画化した人間ドラマの第二部。郷土色豊かな絢爛たる大祭礼、緑と黄の祭衣装が笛太鼓に囃されて入り乱れる大喧嘩、男一匹・玉井金五郎が血達磨の如く狂う真昼の乱闘、情熱の女・マンが裸馬に鞭打って叫ぶ良人への愛情など息つく間もない波乱の物語が展開する。
昭和五年四月。若松市議一行の東京視察旅行に加わって東上した玉井金五郎は、洞海湾六千の沖仲仕保護のために新川岸壁の炭積機建設計画の中止を三菱本店に陳情するが、宿敵・友田喜造に阻まれ徒労に終わる。失意のうちに若松に帰ってきた金五郎に、息子・勝則と若松民政党の幹部・辻本の養女で芸奴の光丸との恋愛事件が待ち受けていた。光丸は辻本の息子・要之助の許婚であり、その仲人は友田であった。金五郎は勝則に反省を促したが、迫る市議選挙を前に友田とは一層険悪な状況となっていく。そんな中、市内の日若座で春の温修会が開かれた。玉井派と友田派が対峙する中、舞台で踊る光丸の相方・妻太郎にお京の面影を見出し目を凝らす金五郎。だが友田派は侠客・栗山の指図で勝則を襲い、さらに舞台に細工をして焼打ちを行うとその勢いを駆って議会を独占せんと手段を選ばぬ運動を開始、金五郎は苦戦を強いられた。その頃マンは芸奴・妻太郎を見咎め、妻太郎は自分はお京と金五郎の間に生まれた娘・お葉だと打ち明ける。選挙は玉井派の惨敗に終わり、益々増長する友田派は祇園祭の山笠行列でも玉井派にけんかを仕掛け、その中で勝則が乱闘の中で気を失うが、光丸が介抱の手を差し伸べる。光丸の真摯な愛情に打たれた勝則は未来を誓い合い、最初は烈火の如く猛反対した金五郎も、マンの言葉に反省し、二人の仲をようやく認めた。勝則と光丸は祝言をあげた。だが一方で、新川の炭積機建設は着工してしまう…。
「花と龍」シリーズ(4)