1954(昭和29年)/7/13公開 103分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1312
配給:東映 製作:東映
江戸八百八丁に夜な夜な怪奇の戦慄を呼ぶ謎の殺人事件。その背後には赤穂義士討ち入りによって断絶した吉良家の呪いがあるという。果たしてその真相とは?角田喜久雄原作の怪奇時代小説を映画化した異色の娯楽作。
赤穂浪士の討ち入りから早十年が過ぎた江戸の街で、死体に四十七士の討ち入りの時の衣装を被せるという事件が続発した。事件の目撃者である、講釈師一心亭南山の娘お蝶が犯人に襲われているのを奉行所御免の多賀甚三郎が助け、甚三郎は赤穂浪士の討ち入りと関連がありと睨み、泉岳寺を訪ねる。すると四十七士の遺品の中から「大石内蔵助」など3名の討ち入り衣装が紛失していた。翌日、被害者である魚屋太吉の出入していた料亭「たちばな」を探った甚三郎は、太吉にはそのという婚約者がいたが、その宛に出された誘いの手紙が届いていた。手紙の文面を元に増上寺境内に向かうと、そのの死体が四十七士「岡野金右衛門」の衣装と共に見つかった。甚三郎はそこに落ちていた金簪などから、犯人は討ち入りの時に吉良方の付き人であった上杉家家老千坂兵部ではないかと推理した。そしてそのが生前奉公していた旗本勝川主膳の先代に当たる内膳が赤穂方に密通した過去があること知り、次は主膳が狙われると推測した。その主膳が近く婚儀を行い、そこに甚三郎が助けたお蝶が伝統の「五人花嫁」の一人として加わることを知って、お蝶の安否を心配する甚三郎。そして婚礼の日、お蝶が曲者一味に捕らわれ、甚三郎は直ちに兵部邸に乗り込むが、兵部は犯人ではなかった。そしてその夜、勝川主膳が殺され、その死体には「大石内蔵助」の衣装がまとわれていた…。