1954(昭和29年)/12/7公開 66分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1590
配給:東映 製作:東映
一宿一飯の義理から行きずりの渡世人を斬った流れやくざの伊太郎が、足を洗って踏み込んだ潮来出島の水の里、兄の仇とは知りつつも慕い寄る村娘・お絹といつしか人目を忍ぶ恋路の果てに、やくざ故の宿命が待ち伏せる…。浪曲界の重鎮・寿々木米若の十八番「潮来情話」を米若の口演と併せて映画化した浪曲股旅篇。
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一宿一飯の恩義から貸元岩田の権造に唆されて、罪も無い一家の身内の新次郎を斬ってしまった旅烏の葛布の伊太郎は、新次郎の臨終の願いを果たすために権造を切り捨て、やくざ稼業から足を洗い堅気渡世の旅に出た。そして足を踏み入れたのは新次郎の故郷、常州潮来の水郷路。新次郎の実家を訪れた伊太郎は、年老いた両親の作左衛門とおたね、そして妹のお絹に、新次郎は堅気の商人として働いていたが病で亡くなったと伝える。老夫婦は悲しみの中にも伊太郎に感謝し、死んだ息子の代わりの愛を伊太郎に注ぐ。そしていつしか伊太郎もお絹に深い恋慕を抱くようになるが、同時に自らの犯した罪の深さに苦しんでいた。だがそのお絹に邪恋を抱く男がいた。一帯の強欲貸元の鬼切の茂十に対して、一度は一家のちょっかいを振り払った伊太郎。だが自分も渡世人上がりで、しかもお絹の兄を手掛けた悔いに苛まれ、伊太郎は人知れず再度の流れ旅に出ようとする。だがそれに気づいたお絹は、伊太郎をやくざと知りつつもその旨に縋り必死で引き止めるのだった。やがて月日は過ぎ、伊太郎はお絹と仲睦まじく百姓として働いていた。茂十一家は何度も喧嘩を売りかけてきたが、その仕打ちに耐えてお絹への愛を貫く伊太郎。そんな姿を見ていた作左衛門夫婦は二人に祝言を挙げさせようする。だが祭礼の日、茂十一家の元に、親分権造の仇を討つために伊太郎を追ってきた六部の政吉たちが現れた…。