1955(昭和30年)/5/31公開 92分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1821
配給:東映 製作:東映
大江戸八百八町に戦慄をもって渦巻く邪宗闇太郎教の謎。漆黒の闇を縫う狂乱の殺人踊り。呪われた隠密屋敷の怪。殺人、呪詛、復讐がおりなす猟奇事件のまっ只中に、南町奉行同心・吾妻一兵と義侠の怪盗・疾風の市が刀を合わせる…。胸もすく颯爽の活躍、妖気、剣が交錯する捕物時代劇。
いつの頃からか、江戸八百八町に怪しい噂が流れ始めた。得体の知れぬ神をあがめ、この世にあらぬ狂舞を繰り広げる「闇太郎様」という邪教が広まっているというのだ。南町奉行所矢部左近の配下である吾妻一兵は、この「闇太郎様」の真相をつかむための一年をかけた奥州八戸の旅から帰ってきた。一兵は早速、奥州路からつけて来た怪老僧を追って谷中安楽寺に入り、そこで「闇太郎様」の奇怪な落書きを発見したが敵の手中におちいり地下牢に閉じ込められてしまった。一兵にはもと八丁堀の岡引で黄粉餅屋弥次郎の娘・お霜という相愛の女性がいたが、その彼女も行方の消えた一兵を探しているうちに安楽寺の座敷牢に幽閉されてしまった。一兵は座敷牢の中でお幸という娘と知り合う。彼女の父は元の大目付松本左膳の腹心・丹後仁左衛門だったが、父は既に殺されていた。夜毎続く信者達の祈り。その中に一兵と瓜二つの、やくざ者の権次郎の姿があった。邪教の首魁の怪老僧、その正体横田甚兵衛は権次郎を一兵に仕立て上げて南町奉行所の密偵に当たらせようと画策する。だが、権次郎はかつて義賊・疾風の市として江戸一円に名を轟かせ、当時与力だった一兵によって江戸追放だけで罪を逃れた過去を持っていた。権次郎は一兵救出のために「闇太郎様」に忍び込んでいたのだ。権次郎に一兵の命運を預けた左近。一方で狂乱状態の左膳とその息子は「若菜様」という謎の言葉を唱え続けていた…。