1956(昭和31年)/8/1公開 64分 モノクロ スタンダード 映倫番号:2371
配給:東映 製作:東映
母を失った薄幸の少女が、形見の舞扇を抱きながら、涙でたどる人生航路…。浪曲師・天津羽衣の胸を揺さぶる名調子と天才子役・松島トモ子の名演技が光る浪曲母映画の傑作。
貧しさの為に芸者となったあき子は、お客であった山本清一郎と恋に落ち、戦乱の満州へ逃れた。やがて娘の由美子が産まれ、漸く幸せが訪れるかという時に、清一郎が病で息を引き取ってしまう。内地に引き上げた親子に頼るものは無く、あき子は料亭の仲居として住み込みで働き、二人の生活を支えた。やがて小学生となった由美子は、あき子の親友で、伊豆で西川流舞踊を教える民江に預けられることになった。子供のいない民江と礼吉の夫婦に大事にされ、明るさを取り戻す由美子であったが、ある日あき子が危篤との知らせが舞い込む。民江と由美子が駆けつけるが、あき子は由美子に舞扇を渡すと息を引き取ってしまう。民江はあき子の遺志を汲み、由美子に踊りを厳しく教え始める。母譲りの天性もあって、由美子は日々上達していった。そんな折、礼吉の工場に山本という工場長が赴任して来た。民江はその娘・照子に舞踊を教えることになり、由美子も正夫少年と親しくなるのだが、実はこの山本こそ、由美子の亡き父の実兄だったのだ。由美子は山本家に引き取られることになるのだが、彼の妻・厚子は権識高く、母が芸者だというだけで由美子を卑しみ辛くあたり、挙句の果てに、照子と共に出るはずだった全国舞踊コンクール地方予選の出場を禁じてしまう…。