1958(昭和33年)/6/15公開 53分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:10738
配給:東映 製作:東映
勤皇派天童藩の姫君を護る青年剣士が、幕府の刺客団と虚々実々の闘争を繰り広げる道中記を、唄う浩太郎、剣の鯉之助に花園、円山、高島の青春五大スターで描く痛快篇。
出羽丘陵の積雪地帯の村々。冬は厳しい季節風が吹き荒れる。貧しいながらも進学の情熱を燃やす高校生・文江。現実は厳しく、大学受験をあきらめた文江を国語教師の幸田はやさしく励まし、文江は幸田に消えない慕情を抱くようになる。進学をあきらめた文江は僻地教育に力を注ぐ若い助教師となる。同時に幸田は東京へ去る。東京にいる恋人の病状が悪化したのだ。文江は生徒たちと心を通わせようと誠意と情熱を持って教鞭をとるが、古い体質の校長や教頭と相容れない。前村長の息子で、生徒たちに全力で向きあう行動的な同僚・安城がただ一人の味方だった。実家は凶作や妹の恋愛問題のもつれで暗澹とし、さらに安城が急死。校内での味方を失った文江だが、生徒たちと力を合わせて図書館を整備して未知の憧れに成長する生徒たちとの生活に充実を覚えた。しかし、凶作で家計を助けるために欠席する生徒が増え続け、過酷な現実を目の当たりにする。妹の嫁入り準備のため稼ぎのいいとさつ場へ勤める父、進学を夢見て上京したが女中になった教え子、退職を余儀なくされた自分。誠実にすごそうと真実を通すことがこんなにも困難だという現実。文江は無性に幸田に会いたくなって上京するが彼女が見たのは恋人の自殺に慟哭する幸田の姿だった。青春のすべてを引き裂かれ、故郷へ戻った文江を待っていたのは意外にも生徒たちの喜びの合唱だった。安城の父が復職に尽力してくれたのだ。奥出羽の大自然が文江に微笑むようにたたずんでいた。