1960(昭和35年)/3/15公開 94分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11646
配給:東映 製作:東映
片岡千恵蔵の十八番、御存じ遠山の金さんが、加賀百万石の悪事を裁き、度胸と啖呵で大暴れ。これぞ時代劇というべき醍醐味溢れる痛快作。
男が良くて腕が立つ御存じ遠山の金さんは、今日も浅草寺の境内で、同じ長屋のお景を救うべく浪人相手に大立廻りだ。
ところが、その頃遠山家では一大事が…。金さんの父・景晋が抜け荷買いの一味と気脈を通じていたという疑いで長崎奉行の地位を追われたのだ。
金さんは叔父の大目付・跡部山城守から事情を聞いた。
抜け荷買い一味の糸をたぐって行くと加賀の廻船問屋・銭屋五兵衛のもとから加賀百万石にまで疑惑の影が拡がって行く。
直ちに真相究明へと乗り出した金さんは、銭屋五兵衛の動きを調べる手始めに、威勢のいい加賀鳶太古に近づき、ある夜、まんまと火消し部屋にまぎれ込んだ。
金さんはそこで加賀鳶の頭領・皿子十兵衛が、加賀藩主斉泰の愛妾お美代の方の育ての親であり、お美代の父が幕閣に隠然たる勢力を張る雪翁だという意外な事実を耳にした。
これだッ!金さんの第六感は鋭く働いた。おまけに十兵衛の口からふと漏れた銭五の言葉を聞いて、直ちに加賀の国に向け出発した。金さんに首ったけの孔雀長屋のお景、丑松も勿論一緒だ。
やがて加賀に入った金さんは、銭屋と渡海屋の喧嘩を仲裁するなど、まんまと銭屋にとり入って船頭・弥平の案内で身を隠していた五兵衛と秘密裡に対面した。
しかし、五兵衛の手には短銃が光り、轟然と火を吹いたが倒れたのは、意外にも弥平の後に立つ紋太だった。
五兵衛は金さんの前にピタリと手をつき無礼な仕打ちをを詫びたが、銭五の口から語られたのは意外な事実…加賀藩御用の立札を立て禁制品を運んでいたのは渡海屋で、政太はその手先だったのだ。一方、渡海屋に向ったお景、丑松の報告からもこれを知った金さんは、夜陰にまぎれて渡海屋の船着場にまぎれ込み、禁制品の数々が積み込まれるのを目撃した。
江戸に舞い戻った金さんは、これを山城守に報告する傍ら加賀藩邸に忍び込むと奥方暗殺と藩邸放火を企む渡海屋と筆頭家老の大月利左衛門との密談を耳にする。
だが、邸の警戒は厳しく、陰謀を耳にしながらも金さんは出られない。やがて奥方は暗殺され邸は火煙に包まれた。放火したのは意外にも火消頭の十兵衛で、加賀鳶の大吉は赤門を守って焼死してしまう。十兵衛と大吉は皮肉にも実の親子だったのだ。
この事実を金さんから聞いた十兵衛は、いまさらながら悪の報いの恐ろしさを知って愕然とし、狂った様に我が子を抱いて改心するのだが、口を割るのを恐れた一味に斬られてしまった。
ある日、雪翁の新邸で将軍家慶御覧の能狂言会が催された。鬼神の面をつけて登場した名手鶴之丞の口からは、次々と陰謀暴露の激しい言葉が飛び出した…。踊り手は金さんだったのだ。
騒然となる一座、激怒する雪翁。だが裃に威儀を正して真相究明を願う金さんに、将軍家慶は裁きの全権を与えた。
将軍に一礼した金さんは、パツと双肌脱いで遠山桜の刺青を証拠に次々と陰謀を暴いて行く。
抜け荷の騒ぎは斉泰を失脚させ、お美代の方の子・鶴千代に家督を譲らせ、加賀藩を乗っ取るという大陰謀だったのだ「百万石を狙う大盗人ッ、神妙にしろいッ!」金さん十八番の威勢のいい啖呵、そして遠山吹雪の刺青がピタリと指さした陰謀の張本人は…。