1960(昭和35年)/4/19公開 56分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11688
配給:東映 製作:東映
前作「赤木の子守唄」で好評を博した浪曲国定忠治の第二弾。可愛い乾分と別れ赤木山を下った国定忠治が、任侠流転の信州路で、二束草鞋の不良親分山形屋藤造を懲らしめるご存じ股旅日記を、二葉百合子、玉川福太郎の美声に乗せて描く浪曲映画の痛快娯楽篇。
赤城の山を下った国定忠治の行手には到る所で目明しが待ち構える。人相書きに記された五十両の賞金に、「国定忠治は俺の手で」と色めき立っているのだ。だが当の忠治は旅の薬屋に身をやつし、旅籠浅間屋に居た。実は、十数年前ここの女中お菊に生ませたまだ見ぬ我が子を密かに訪ねてきたのだ。お菊はこの世を去っていたが、娘のお市は浅間屋の主人・仁左衛門に育てられ、板前の巳之吉との世帯を楽しみに明るい毎日を送っていた。忠治がこの地に現れた事をいち早く知った代官手代・大野木嘉六は、二足草鞋の貸元疋五郎に明治宿場の旅籠をしらみつぶしに探させる。この疋五郎、この土地きっての鼻つまみ者で、浅間屋の離れの賭場にいかさま博奕に日を送る上、同じ仲間の山形屋藤蔵と組んで貧しい百姓の娘を食いものにしては莫大な財産を得ている。今日もまた、山形屋藤蔵のもとに年老いた貧しげな百姓喜兵衛が娘・お光を連れてきた。凶作続きで家族を救うには可愛い娘を売るよりほかなかったのだ。涙ながらに五十両の金を懐に入れ、我家に戻る喜兵衛。それを狙うは藤蔵の用心棒・大林。藤蔵は、五十両をみすみす手放す男ではなかった。それを知って遂に忠治の堪忍袋の尾が切れた。飛ばす啖呵も歯切れ良く、さっと三度笠を跳ね上げた男一匹。「やい山形屋っ。俺は上州は佐位郡国定村の長岡忠治だ。面ぁ見知っとけっ!」