1960(昭和35年)/5/10公開 55分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11599
配給:東映 製作:東映
若さにまかせ、腕と度胸とさいころで上州一円を暴れ廻る“さいころの浅”に里見浩太朗、日光の円蔵を若山富三郎、空っ風の半次を花房錦一。国定一家の暴れん坊が活躍する陣出達朗の原作を映画化した痛快明朗時代劇。
上州は佐位郡、侠気に厚い国定村の名親分・長岡忠治の許へ現れた若い旅鴉が、乾分の一人に加えてくれと頭を下げた。
唄がうまくて、めっぽう男前のこの旅鴉は、名をさいころの浅と云い、さいころの腕前にはさすがの忠治親分も驚くばかりだ。
だが、忠治ににべもなく断われた浅は、忠治身内の利巧者・日光の円蔵からまず口説こうと後を追い、高崎への旅に立つ。
日光の円蔵は、忠治と盃を交したことのある花巻の勝五郎の死因に疑惑を抱き、忠治の命でその真相を探ろうと草鞋をはいたのだった。
当時勝五郎は、土地の親分・釈迦の十造と張りあっていたが、一夜、十造の賭場でイカサマを使った科で、妹・お雪を残してなぶり殺しにされたという噂。
道中、さいころの浅は、一人の浪人者に出会うが、これが姿を変えた円蔵とは露知らず丁半勝負と居合抜きで負かされて、ひとり高崎へと足を踏み入れる。
同じ頃、十造一家では、近く開く花合に備えてめっぽう腕の立つ浪人者を用心棒に雇い入れたが、実はこれが円蔵であった。
兄・勝五郎を失ない、悲嘆にくれるお雪の身には早速十造の魔手がのびていた。寄ってたかって乾分たちが口説きにかかっているところへ、フラリと姿を見せたのが浅だ。持ち前の侠気から、腕づくで乾分を追い払い、お雪に勝五郎の死因をただしてみたが、忠治一家の半次が云うとおりどうも疑惑の点がある。
一方、乾分が恥をかかされてだまっている十造一家ではない。ほどなくお礼参りに現われて、浅の奮斗も空しく、お雪はどこかへ連れ去られてしまった。
怒りに狂った浅は、単身十造一家に殴り込みをかけるが、お雪の姿は見つからず、おまけに袋だたきにされた上、用心棒の浪人の刃にかかろうとする。
浪人は実は円蔵で、浅の一命を救うとお雪の居どころ告げるのだった。
浅を救い十造親分との約束を破った円藏の秘密を知っているのは、一家のツボ振り、女やくざの銀のお滝である。
お滝は、亡父の借金の穴埋めにいかさまを使い、十造一家に重宝がられていたが、そのいかさまを見破ったのが仇になり勝五郎は一家に殺されたのだ。
こんなお滝でも元は善良な女だと円蔵は見破る。
景気のいい村祭りの太鼓の音と共に、十造一家の花合が開かれた。とその賭場の廻りを突然騒がす威勢のいいちんぴらやくざは、いつの間にか現われた忠治の乾分で空っ風の半次である。
一方賭場では、壺振りのお滝が例の手練で場内を煙に巻いていた。勿論仕掛けは、盆呉服の下にある。だが花会が熱狂してきた頃、お滝の振ったさいころの利き目がピタリと止った。その瞬間、盆呉服の下から長脇差の切先が現れ、ニッコリ笑った浅と半次がすっくと立つ、たちまち取り囲む十造一家の手下を斬ったところへ、水車小屋からお雪を連れ出した日光の円蔵が駆けつけ、花合転じて大乱闘…。だが、いかに腕が立つとは云え、十造一家と土地の悪貸元を相手どり苦戦する二人だったが、勝五郎怪死の真相を知り、はるばる上州から駆けつけた国定一家の助勢を受けて元気百倍、浅の助っ人でお雪は兄の仇・十造を倒すことが出来たのだった…。