1960(昭和35年)/8/16公開 56分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11833
配給:東映 製作:東映
冒険小説の傑作として、今なお少年たちの血を沸かせいるジュール・ヴェルヌの「十五少年漂流記」を映画化した「少年漂流記」の続篇。夏休みに“小型海流調査船“海神丸”に乗り組んだ十四人の高校生と一人の中学生が、ふとした誤ちから太平洋上遠く流され、南海の無人島に漂着します。十五人の少年たちが、激しい嵐や、密林の猛獣、更にはこの島に流れ着いた凶悪ギャングたちと闘いながら生き抜いた五十日間の物語を雄大な太平洋と灼燃のジャングルを舞台に描いた雄壮な冒険ドラマ。
鬱蒼たる密林に覆われた南海の無人島で十五少年たちの自給自足の生活が始まった。志賀たちは海に潜り魚を獲った。北岡たちは銃を手にジャングルに獲物を求めた。青井がコックとなってこれを料理した。嵐にもめげず雄々しく絶壁に立つ信号塔が彼等の希望の象徴となっていた。しかし幼い芳夫は伴綱の事がひとり心を苦しめ、遂に絶壁から身を跳らせて自殺しようとする。兄の片倉と尾崎は、そんな芳夫に力強く生きるよう励ますのだった。
船の見張りが続けられた。しかし島に上陸してから既に十五日、一隻の船も通らなかった。
まだ知られていない西や南の海岸を探る為に、片倉たちは探険隊を組織した。ジャングルの猛獣等の脅威に絶えずさらされながら、片倉、北岡、榎本の三人の探険隊は強行軍を重ねた。しかしいずれの海岸からも近くに島影を発見出来なかった。もっと高い所に上れば島が見つかるかも知れないと、片倉は人の乗れる大きな凧を作って上げる事を提案した。だがこの実験も無残な失敗に終ってしまう。
船での飲料水の一件以来、上坂と片倉たちの間には冷たい空気が流れていた。片倉の指導にことごとく反抗してきた上坂は、遂に鈴木と福田の二人を連れて、少年たちの洞窟を離れていった。
洞窟に残った片倉たちは、失敗した凧の修理に力を合せた。
ある日、ジャングルで女に出合ったと宮井が意外な報告をもたらした。間もなく少年たちは、ジャングルに倒れていた一人の日本人の女を発見する。本間晴子と名乗るその女の言葉によれば、彼女はジョージを首領とする三人の外人ギャングに誘拐されて外国へ送られる途中、遭難してこの島に漂着したとの事である。彼らの船こそ少年たちが海神丸で漂流中に打ち上げた救難信号を無視して遠去かっていった外国船だったのだ。
ジョージたちは逃げた彼女を探して間もなくここに来るかも知れない。少年たちはすぐに洞窟の偽装に取りかかった。
ジョージは平気で殺人を行う凶悪ギャングだ。少年たちは洞窟を去った上坂たちの身を案じた。
片倉は彼等の居処を探ろうと夜を待って凧を上げた。風をはらんだ凧は片倉を乗せて一気に上昇した。しかし、必死に支える少年たちの手からロープをもぎ取った凧は、遥かジャングルの彼方へと消えてしまった。
だが片倉は無事だった。彼の報告によれば西の海岸に焚火が見えたという。すぐさま片倉たちはゴムボートで西の海岸に向った。
案の定、上坂たちは既にジョージ一味に捕まり小屋の中に監禁されていた。少年たちの勇敢な行動により上坂たちは無事救い出される。
洞窟に久しぶりに十五少年の明るい笑顔がよみがえった。上坂もその頑なな態度を改めていた。ジョージたちの襲撃に備えて少年たちは作戦を練り、学生である以上は射ち合いは避けることを約束した。
ジョージたちの姿が現れる日がきた。激しい銃火がジャングルを震わせ、銃弾が少年たちに浴びせられた。晴子はジョージの凶弾に倒れた。少年たちも遂に銃を手にした。激闘数刻、少年たちを追って来たジョージ一味は、底なし沼とは知らずに足を踏み入れ、自ら水底に没してしまった。島はまたもとの静けさにもどった。
漂流以来五十日目、折から通りかかった商船によって十五人の少年は無事救助された。
団結の力強さといかなる時にもくじけぬ勇気。この貴重な夏休みで学んだ二つの教訓が、遠去かる島をみつめる片倉を始め十五少年の胸に鮮やかによみがえってきた。
「少年漂流記」シリーズ(2)