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半七捕物帖 三つの謎

Cases of Hanshichi

1960(昭和35年)/10/16公開 90分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11990 
配給:東映 製作:東映

片岡千惠藏主演の異色捕物シリーズ第1弾。江戸情緒あふれる岡本綺堂の原作に材をとり、東千代之介が初の岡っ引き役を演じるなど多彩な配役で贈る。

半七捕物帖 三つの謎
(C)東映

ストーリー

第一の謎
江戸でも名の通っている酒問屋・津の国屋の養女おきよが、菩提寺である永昌寺で縊れ死んだ。おきよは、子宝のない津の国屋に迎えられたが、その三年後にお雪が生まれ、大きくなるにしたがって気まずくなり、八王寺の実家へ帰したものだった。おきよの四十九日の夜、ローソクが倒れて仏壇が燃え、小唄師匠の文字春が、おきよと同じ柄の着物を着た娘に会い、それを聞いた御用聞き桐畑の常吉も無人横丁で飛鳥のような娘の姿を見失うという奇怪な事件が続発した。一応は意気込む常吉を制した三河町の半七だったが、その眉には不審の色が濃かった。永昌寺の住職覚念に「死霊の祟り」と云われた津の国屋は、出家すると云い出したが、大番頭の金兵衛の指図でさる寺に身を隠した。
ところが、津の国屋の失踪後、金兵衛と津の国屋の女房・お藤が密通しているとの噂を流すものがいた。そしてある日、津の国屋の土蔵の中で金兵衛とお藤が縊死体となって発見された。二人の首の絞跡を検めた半七は他殺と断定、犯人は武道の心得のあるものとつぶやいた。常吉は半七の命を受け、不義の噂を流した大工八兵衛、遊び人の熊吉、源太の行方を探すと共に、両国の女軽業一座の花形小蝶ことおかねの失踪を確かめた。帰宅した津の国屋に、「犯人は家の中に居る」と語る半七。それを盗み聞いた女中のお角と番頭の長太郎が何処へか姿を消した。「行先は永昌寺だ」色めき立つ皆を前に、半七の快刀乱麻を断つ明快な絵解きが始まる…。
第二の謎
真庭念流岩下道場の主・左内が、山王の森で後袈裟にばっさり殺られた事件が起こった。半七は左内の妻・おそよ、門弟の平田、神坂の両人から「貴様に殺られた梶井源右衛門の亡霊」だという奇怪な声におびき出されて殺された、という申し立てに首をかしげる。事件の朝、藤太郎という遊び人が左内に試合を申し込み、散々な目に会ったことを聞いた半七は糸をたぐって、その遊び人が顔なじみの伊太郎であることを知ると奇怪な声の主が南蛮渡来の伝声管ズウフラであることをつきとめた。
伊太郎の話はこうだ。兄・源右衛門を殺し、おそよと共に逐電した左内を求める、三四郎とお市の兄妹に同情した伊太郎が、道場に乗り込んで手痛い目に合い、腹いせにズウフラを使って左内をおびき出し、兄妹に仇討ちさせようとした。ところが、三四郎兄妹が討つ前に左内は何者かに殺されていたというのだ。三四郎の刀を検めた半七は、伊太郎に「一役買ってくれ」と頼む。
その夜、道場の一室で酒を酌み交わすおそよ、平田、神坂の耳に、ある時は地の底、ある時は天からと陰にこもった奇怪な声が語りかけて来た。その声はおそよの旧悪、そして今度の左内殺しの真相を物語る。「あいつを殺しておくれッ!」半狂乱のおそよ、抜刀してとび出す平田、神坂らを、半七、常吉、伊太郎、三四郎兄妹が迎え撃つ。「さあ、ここからが年貢の納め時だ」半七の啖呵と共に、手練の捕縄が流星のように尾を引いて飛んだ。真犯人は果たして誰か?
第三の謎
横浜港崎新地の路上で、岩亀楼の新参遊女・お美代に酔ってからんでいた異人ロイドが謎の浪人者の一刀で首をはねられた。奉行所の命をうけ、半七は行方不明のお美代と浪人者を求めて活動を開始する。お美代は駒井町の善兵衛長屋から売られて来たばかりの、村上治右衛門という浪人者の一人娘である。折も折、同士が横浜で血祭りにあげたものだと称する血まみれの異人の首を持った攘夷浪人の一党が、江戸屈指の質商・山口屋を襲って五十両を強奪するという事件が発生した。子分の幸次郎と松吉の働きで異人殺しの浪人の身許が割れる。末広町の山惚長屋に住む菊川新八郎というぐれ浪人で、村上一家も一年ばかり前にこの長屋に住んでいたことがあり、お美代とはこの頃からの恋仲だという。半七たちの必死の探索をよそに、押し込み強盗事件はわずか十日ばかりの間に五件も続き、殺害されたもの三人、被害額は三百八拾両に及んだ。横浜奉行所からの緊急の書状に目を通した半七は「ばかなお侍だ。くだらねえ小道具を使って押し込みなどしなけりゃ罪にはならねえものを」と謎のような言葉をつぶやき、伊太郎に最近金廻りのよくなった人形作りを探らせる。更に、永年の経験とカンを生かして裏伝馬町の酒問屋・津の国屋に攘夷浪人御用の罠を仕掛ける半七だ。津の国屋の小判に刻印をつけるようにという半七の命を受けた常吉は、津の国屋と懇意の小唄の師匠・文字春にこの使いを依頼した。「私の頼みを聞いてくれたら」と常吉への愛を告白して春文字は気軽に立ち上がる。押し込み強盗に奪われた津の国屋の刻印小判が菊川新八郎によって村上家へと届けられた。お美代の愛情に人の世の誠に目覚め、村上一家の苦境を救おうとする新八郎だ。治右衛門に刻印小判を知らされて「は、謀られたッ!」と新八郎の顔に殺気が走る。虚無な瞳に殺意を秘めて江戸の町をひたがける新八郎を、御用提灯の波が追う。攘夷党と称する大槻らぐれ浪人たちを相手に新八郎の死闘が続く。「菊川さんおめえさんの件は後廻しだ。手を貸しますぜ。」と全てを察した半七、常吉、伊太郎たちが乱入した。

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